画像技術の進歩で脳研究は90年代に飛躍的に発展した。
いよいよ“心の謎”に迫る認知脳科学の時代が始まる。
心の研究はどこまで進んだか 澤口俊之
認知に果たす「無意識」の役割 彦坂興秀
精神疾患から探る脳 計見一雄×茂木健一郎
ロボットで変わる心臓手術 C. ボルスト
世界では毎年約80万人が冠状動脈のバイパス手術を受けている。この手術は,胸を大きく切開する必要があり,患者の肉体的負担が大きかった。近年,これを軽減する方法が探られ,その一環としてロボット導入の試みも始まった。
意思決定の科学 勘からの脱却 J. A. スウェッツ/R. M. ドウズ/J. モナハン
ビジネスや生産現場,医療などでは二者択一の選択を迫られることが多い。こうした意思決定で,より適切な選択をするのに向いた手法がある。統計手法を使う方法で,選択を誤ると人命にかかわる問題でも的確に判断ができる。
メソポタミア文明の知られざる都市ナバダ J. ブレッツシュナイダー
古代文明の発祥地として有名なメソポタミア地方では,南部に比べ北部があまり調査されてこなかった。近年,北部で4500年前の都市ナバダの発掘調査が進み,南部に匹敵するほど統治体制と文化が発達していたことが判明した。
行動や思想など文化は,模倣によって人から人へと伝えられる。この模倣による文化伝達・進化に重要な役割を果たしているとされるのが「ミーム」だ。この考え方の核心は何か,それにはどんな反論があるのか--。
主役は自己複製子「ミーム」 S. ブラックモア
ミームは人類に固有か L. A. デュガトキン
ミームだけで文化は語れない R. ボイド/P. J. リチャーソン
価値観の共有を説明できるか H. プロトキン
橋梁デザインを変えた革命児 D. P. ビリントン
スイスの構造技術者マイヤールは20世紀を代表するコンクリート橋を多数設計した。マイヤールの橋は周囲の景観と調和し,力学的にも優れている。後世の土木技術者に強い影響を与えたマイヤールの斬新な設計思想を探る。
特集3:次世代モバイルIT
インターネットに接続できる携帯電話の普及などでモバイルIT(情報技術)が様変わりしている。将来の携帯電話は音響・映像など様々な機能を取り込み,現在の電話機とは似ても似つかない姿になるだろう。新しい機能を実現するためのアイデアや技術も相次いで生まれている。
変貌する携帯電話 F. ハーベイ
携帯ネットの命運握るWAP K. J. バンナン
技術の裏に潜む料金問題 D. ウイルソン
終わりなき開発競争 L. カーネイ
究極のワイヤレス技術「ソフトウエア無線」 春山真一郎
世界の研究室から
拒絶反応の克服を目指して 川原敏靖(ハーバード大学医学部附属マサチューセッツ総合病院)
サイエンス考古学
宇宙での人体/“ダイアネティックス”/天然痘ワクチンの製造/蒸気タービン/蚊を一網打尽/アナーキスト保健/ポンプ浚渫船/ナポリの医療
TOPICS
無人の小型飛行機で北極海の気象観測/ロシアの原子力潜水艦沈没で放射能汚染を懸念する声/バイオインフォマティクスで標準化の動き/自己複製するロボット/電気のいらない冷蔵庫/睡眠障害のナルコレプシーは神経伝達物質不足が原因?/ブラックホールと銀河の切れない縁/環境ホルモン問題解明へ「内なる宇宙」の研究を/頑丈な人工細胞/道路は動物の絶滅を早めるか/東海岸を大津波が襲う?/電子書籍はわかりにくいか
地球 塩の旅
塩を運ぶキャラバン 文・写真 片平孝
右の世界,左の世界
脳が左右に進化した謎 黒田玲子×伊藤正男(理化学研究所・脳科学総合研究センター所長)
錯覚の情報学
錯覚こそ知覚系の戦略を探る手だて 柏野牧夫・西田眞也
WAVE
「♯」記号で浮上した標準争い/進むインテリジェント住宅の研究/賢さはどこでわかるか
数学レクリエーション
「マインスイーパー」で億万長者になろう! I. スチュアート
ブックレビュー
『干し草のなかの恐竜』
『理系の女の生き方ガイド』
<連載>森山和道の読書日記 ほか