混雑の心理学 密集は暴力を駆り立てるか F. B. M. ドゥ・ヴァール/F. アウレリ/P. G. ジャッジ
1960年代のネズミの実験から,過密状態は暴力行動を引き起こすと信じられてきた。しかし,人間やチンパンジー,アカゲサルなどにはこの説は当てはまらない。霊長類は混雑するとどんな行動を見せるのか--。
解き明かされる小惑星の世界 E. アスファウ
相次ぐ探査機の打ち上げで,これまで謎に包まれていた小惑星の素顔が明らかになってきた。小惑星の正体は“がれきの集まり”らしいが,それはどうやってできてきたのか。
小惑星の地球衝突に備える 磯部琇三
直径500m以上の小惑星が地球に衝突すると大災害になる。衝突の確率はどの程度で,どんな回避策があるのか。衝突を避ける動きが実際に具体化してきた。
最古のピラミッドに隠されていたもう1つの墓 K. ミシュリヴィエッツ
エジプトのサッカラには紀元前3000年の最古のピラミッドがある。ポーランドの考古学チームは,その西側で鮮やかな壁画で飾られた謎の墓を発見した。
水素の金属を作る W. J. ネリス
水素は通常は気体だが,米国の研究チームが140万気圧という超高圧をかけて金属の水素をつくり出した。金属水素を常温・常圧下で取り出せれば,画期的な新素材になる。
軽い元素で“究極の金属”を作る 久保田啓介(編集部)
エイズに追い詰められるアフリカ C. エゼル
アフリカはいまエイズの流行に苦しんでいる。医師たちは,これ以上の感染の広がりを食い止めるため苦闘しているが,貧困や男尊女卑的な社会慣習の壁に阻まれている。その様子をジンバブエに探る。
知の21世紀へ
パソコン大容量化 迫り来る限界 J. W. トイゴ
コンピューターのハードディスクは超常磁性効果とよばれる現象が壁になって,記録密度の限界が近づいている。この壁を打ち破ろうと,IBM,シーゲート・テクノロジー,クアンタムなど世界のメーカーが新方式開発にしのぎを削っている。
浮上する新方式
磁気に光を加味/超常磁性効果の起きにくい材料を使う/ビットのパターン化/地平の彼方にあるホログラム記憶装置/10年後の実現目指す原子レベルの記憶装置/未来の「パンチカード」
世界の研究室から
脳と意識の謎は解けるか 近藤秀樹(ワシントン大学医学部研究員)
サイエンス考古学
世界の食糧問題/超音波誘導/憂鬱な月曜日/ツェッペリン飛行船/舞台効果/ばい菌だらけの服/人気沸騰の氷/大火事とつむじ風
TOPICS
カーボンナノチューブの応用活発に/アルツハイマー病治療に有望視される抗炎症剤/ヒトゲノム解読後にらみ遺伝子データベースづくり/目には目を/エンジンの推力調節だけで航空機を操縦/手つかずの隕石/ナチスの核開発めぐり物理学者師弟が見せた確執/サメの軟骨でガン予防は疑問/低線量の放射線は体に必要?/百武彗星の長い尾/世界に広がる喘息
空 模様
雷 文・平沼洋司/写真・武田康男
夢に賭ける
鉄の未知の性質に新たな視点で迫る 奥村直樹(新日本製鉄鉄鋼研究所所長)
錯覚の情報学
知覚系が頻繁に見せる“前後不覚” 柏野牧夫・西田眞也
脳の見方,モノの見方 40
「つながり」から考える環境問題 養老孟司×阿部治(埼玉大学教育学部助教授)
WAVE
個人の好みを的確に予測するソフトが登場/監視社会の皮肉込め,オーウェル賞の授賞式/偉大な足技
数学レクリエーション
タイルアートの新デザイン術 I. スチュアート
ブックレビュー
『ハエ,マウス,ヒト 一生物学者による未来への証言』 丸山工作
『知の創発 ロボットは知恵を獲得できるか』 栗本英和
<連載>森山和道の読書日記 ほか