生物時計を動かす遺伝子 M. W .ヤング
ショウジョウバエから人間まで,あらゆる生物の体内には,日周リズムを支配する時計が備わっている。この時計の歯車として働くのは,脳の細胞で活性化される複数の遺伝子とタンパク質だ。
量子テレポーテーション A. ザイリンガー
光の粒子(光子)がもつ情報を遠く離れた場所に瞬時に伝送できることが,実験で裏付けられた。この仕組みは「量子テレポーテーション」と呼ばれ,SF小説でおなじみの“瞬間移動”も夢物語ではなくなってきた。
患者本位の臨床試験とは J. A. ジビン
新薬が認可を受ける前に,安全性と有効性を立証するのが臨床試験だ。時間がかかる上に,臨床試験に参加した患者の中には,新薬候補ではなく偽薬を投与されることもあるが,現在の臨床試験の方法が最良なのだろうか。
転機迎える日本の臨床試験 詫摩雅子(編集部)
サイエンス・イン・ピクチャー
原色の花が誘う南米の森 G. マルティネリ
ブラジルの大西洋岸には,かつて広大な森林があった。現在は開発によって切れ切れになった森が点在している。その森は,色鮮やかな花を咲かせるブロメリア科植物の宝庫だ。
知の21世紀へ
特集 火星 有人探査のシナリオ
昨年米国は相次ぎ火星のロボット探査で失敗し,21世紀の火星探査の見直しを迫られている。立て直しを目指し「火星生命の探索」を目的とした有人探査のシナリオを検証,装備や飛行方法を具体的に紹介する。
生命探しのカギ握る有人計画 G. ゾーペット
着陸までの飛行プラン G. マッサー/M. アルパート
ステップ1 安上がりな直行便 R. ズブリン
ステップ2 フォボス,ダイモスを中継地に S. F. シンガー
ステップ3 巡回軌道の宇宙船を使う J. オバーグ/B. オルドリン
ハリウッドが描く火星 P. ヤム
世界の研究室から
パナマの小島は熱帯研究の最先端 酒井章子・スミソニアン熱帯研究所
サイエンス考古学
水素爆弾と民間防衛/畜産に役立つ抗生物質/突拍子もない新説/時計の調整/ベトナムと魚/綿紡績の職業訓練校/動力の伝達/バブルの世の中
TOPICS
ニューヨークを襲った新型脳炎/無重量での方向感覚喪失を回復/手書き風画像をCGで作り出す/仮想現実で離着陸機を効率よく管制/遺伝子組み換え作物に初の取引ルール/第五の味覚/ニワトリの羽毛から自動車部品/クォークの“火の玉”を再現/死者から結核感染/2つのものが同時に並ぶ
空 模様
暈と雨 文・平沼洋司/写真・武田康男
夢に賭ける
建物が自らトラブルを診断・修復 表佑太郎(大林組技術研究所所長)
錯覚の情報学
「ちがい」と「ち」「が」「い」の際立った違い 柏野牧夫・西田眞也
脳の見方,モノの見方 38
集落に見る不思議な形 養老孟司×藤井明(東京大学生産技術研究所教授)
WAVE
暗号ソフト,輸出規制緩和後の課題/パソコンの空き時間をネットで買い上げ,商業利用/インチキ商売で失業者救済
数学レクリエーション
部分集合取り尽くしゲーム I. スチュアート
ブックレビュー
『植物と動物の歳時記』 鹿野司
『パストゥール 実験ノートと未公開の研究』 中村桂子
<連載>森山和道の読書日記 ほか