日経サイエンス 1998年2月号

コンピューターウイルス vs. デジタル免疫系

1997年12月24日 A4変型判 27.6cm×20.6cm

1,429円+税

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編集部から一言

特製カレンダー付きの号です。絵の選び方もそうですが,日付の欄にある書き込みにご注目。これ,全部,Nの趣味です。
これを見ている方なら,コンピューター・ウイルスとその撃退法は絶対気になるはず。火星ばかりが話題になっていますが,水星だってすご~く面白い惑星なんですよ。ちょっと“えぐい”と思う方もいるかもしれませんが,イモムシと寄生バチとウイルスの話はすごいですよ。グレート・ジンバブエ遺跡はご存じない方が多いはず。そもそも,独立したときに国名をジンバブエにしたのは,この遺跡を誇りにしているからなんです。

コンピューターウイルス vs. デジタル免疫系

J. O. ケップハート/G. B.ソーキン/D. M.チェス/S. R.ホワイト

新種のコンピューターウイルスは毎日6つずつ誕生しているとか。実際に被害を出しているのはその中のほんのわずかですが,被害が起きてからでは遅すぎます(みなさんのパソコンは大丈夫ですか?)。撃退法も進んでいます。ちょうど生物の免疫系の進化と同じように撃退法が進化している点も面白いですね。

 

水星—忘れられた惑星  R. M. ネルソン

大きさの割に異常に重いとか,あんなに太陽に近いのに大気があるとか,水星は謎だらけです。結構,地球に近いのに,探査は全然進んでいない──謎めいた水星の話ももちろん面白いのですが,探査機が行かないのは,どの惑星を選ぶかを決める委員会のメンバーが偏っているからだと,堂々と活字に書いてしまうアメリカ人って,やっぱりすごい。

 

寄生バチが放つ生物兵器  N. E. ベッケージ

寄生バチはイモムシの体内に卵を産みつけます。ハチの幼虫はイモムシを中から食べていって──。なぜ,イモムシの免疫系は卵を撃退しないのでしょう?実は,卵と一緒に免疫不全ウイルスが注入されるからなのです。しかも,そのウイルスの遺伝子は寄生バチの染色体上にあるんです……。そう,極端にいえば,寄生バチがウイルスを作り出しているのです!

 

アフリカの城壁都市グレート・ジンバブエ  W. ンドロ

独立後の国名ジンバブエはこの遺跡にちなんでいます。石造りの優美な曲線をもつ城壁都市です。中世ヨーロッパ人の「黒人にこんな立派な文明があったはずがない」という偏見のせいで,聖書のソロモン王の黄金都市と間違われ,黄金目当てに破壊された,悲劇の遺跡でもあります。

 

病気に強い遺伝子組み換えイネ  P. C. ロナルド

イネの重要性は今さらいうまでもありませんね。味は悪いけれどイネ白葉枯病に強い品種から,その耐病遺伝子を見つけることがついにできました。世界初の遺伝子組み換えイネの誕生までの苦労を語ります。

 

冬眠物質を探す  近藤宣昭/近藤淳

カエルやヘビの冬眠と違って,シマリスの冬眠はもっと積極的です。外気温よりも常に1度,体温を高く保てるのです。しかも,脳まで本当に寝ているわけではなく,危険を察知すると,急速に体温が37度まで戻ります。4度や5度の低温になりながら,なぜ臓器は正常な機能を保てるのか?ただ,シマリスも温度が低くなればいつでも冬眠できるわけではないようです。冬眠物質が体内にないと,冬眠できないのです。

 

フェルマー最後の反撃  S. シン/K. A. リベット

「驚くべき証明に到達したが,それを書くには余白が狭すぎる」。フェルマーが残した言葉どおり,ワイルズによる最終定理の証明は100ページに及びました。けれども,まだ,疑問が解決できているわけではないのです。ワイルズの証明法は,現代的すぎて,フェルマーが考えついた証明法と同じとは思えないのです。この最終定理にとりつかれた人たちのドラマは,まさに人間ドラマと呼ぶにふさわしいでしょう(Tの個人的感想ですが,フェルマーって嫌な奴だったようですね)。

 

ほえる鳴き砂  F. ノリ/P. ショルツ/M. ブレズ

日本の鳴き砂は小さなかわいらしい音を出しますが,世界には唸り声や太鼓のとどろきのような音を出す鳴き砂もあるそうです。音の出るメカニズムを紹介しているわけですが,うーん,実際に聞いてみたい。

 

 

 

世界の研究室から

 アラスカで地球の将来を考えよう  赤祖父俊一(アラスカ大学地球物理研究所所長)

空 模様

 影富士  文・平沼洋司/写真・武田康男

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畑で相次ぎ医薬品を“栽培”/ホタルの雌はなぜ他種の雄を食べるのか/熱帯降雨観測衛星打ち上げ/エキゾチック中間子を発見/捕鯨の歴史が教える温暖化/核弾頭が爆発する瞬間/中性子星の大きさを測る/米国でフードゲーム計画/ミサイル式遺伝子治療法/黒死病復活か/新種のぜん虫類発見/“多様生産業”の育成を──京都賞受賞のジャンセン博士語る

博物館の宝物

 兵庫県南部地震の野島断層はぎとり標本  兵庫県立人と自然の博物館

脳の見方,モノの見方 10

 脳が紡ぎ出す言葉の世界  養老孟司×辻井潤一(東京大学教授)

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 アマミノクロウサギは“ムカシウサギの生き残り”ではない/科学者の姿は奇妙きてれつ?

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 サイコロの誘惑  I. スチュアート

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 『神がつくった究極の素粒子』

 『脳を観る』 ほか

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