日経サイエンス 1997年5月号

動物実験の是非を問う

1997年03月25日 A4変型判 27.6cm×20.6cm

1,359円+税

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編集部から一言

新連載開始!!
・養老孟司の脳の見方,モノの見方――養老先生をホストに,毎回ゲストの先生を迎えて行う対談連載です。聞いててゾクゾクするほど面白い!
・空 模様――雲を中心に,美しい写真で気象現象を紹介します。
ブックレビュー特集 読者にすすめる50冊
多彩な顔ぶれに,この1年間に出た本を中心に選んでいただきました。
「カマキリが高いところに産卵すると大雪」は本当かは創刊25周年記念論文賞の優秀賞作品です。

会話するバクテリア  R. ロージック/D. カイザー

どうもホモ・サピエンスは,系統樹で自分たちから遠いところにある生物の能力を過小評価する傾向があるようです。バクテリアは,地球上で最も成功している生物なのにね!

 

宇宙線の不可思議  J. W. クローニン/T. K. ガイサー/S. P. スワーディー

現在ある最高の加速器で得られるエネルギーの1億倍という途方もないエネルギーをもつ粒子が宇宙からやってきます。いったいどこで,生まれたんでしょうねぇ。

 

創刊25周年記念論文賞・優秀賞

「カマキリが高い所に産卵すると大雪」は本当か  酒井輿喜夫/湯沢昭

本当なんです。ただ,卵の位置を積雪予想に役立てるには,著者たちの行った補正が必要です。予知できるカマキリもすごいですが,そのデータを30年以上も取り続けてきた酒井さんもすごい!

 

真核細胞誕生の謎を解く「膜進化説」  中村運

ミトコンドリアや葉緑体が共生して今日の真核細胞になったという,あの「細胞内共生説」に真っ向から立ち向かう「膜進化説」。共生説は最近では,ミステリーのネタにもなっていますが,生物界では見直そうという動きがあります。

 

地殻の変動を見る衛星レーダー干渉法  D. マソネ

数百kmの上空から,数mmの地表の変動を検出できます。別に最新の衛星がいるわけではなく,解析法のちょっとした工夫で可能になったのです。科学技術の原点ですね。

 

超巨大数への挑戦  R. E. クランダル

アルキメデスは宇宙を砂粒で埋め尽くすのに必要な粒数を計算し,当時1万までしかなかった数の体系を改めました。この計算,宇宙を冥王星軌道までの球体とするときわめて正確だそうです。その計算力もですが,想像力がすごい!もちろん,現代ではもっともっと巨大な数が登場します。

 

 

論争:動物実験の是非を問う  A. N. ローワン

うちの雑誌でやるからには,あくまでも科学的な話です。動物で出た結果とヒトでの結果が食い違うことは少なくありません。一部の研究は確かに培養細胞でも可能です。けれども,動物を使わずにはできない研究もやはりあるのです。

 

無駄で誤解を生む動物実験  N. D. バーナード/S. R. カウフマン

 

動物実験は医学に不可欠だ  J. H. ボッティング/A. R. モリソン

 

動物実験の倫理性  M. マカージー

 

 

コカイン依存者の免疫療法  D. W. ランドリー

これまでの治療法は脳に入ってしまったコカインをどうするかに重点が置かれていました。この免疫療法は抗体を使って,脳に入る前にコカインを分解します。

 

 

 

新連載 脳の見方,モノの見方 1

 養老孟司×津田一郎  脳の最終的な記述は不可能だ

 脳を理解しようとしているのが,そもそも脳での作業だから,それは外部からの観測ではなく,内部観測になってしまうのです……

新連載 空 模様

 朝焼け雲  文・平沼洋司/写真・武田康男

Letter from the Editor

世界の科学者

 細胞工学を生み,育んだ日本人  岡田善雄

Letter & Opinion

 クローン羊は他人ごと?/不条理な予算運用/コンタクトレンズへの誤解

科学の窓

 北アメリカ沙漠紀行  盛口満

 中生代末の隕石衝突による津波堆積層/ヒト組織の有効利用へ一歩

ブックレビュー特集 読者にすすめる50冊

 和達三樹/逢沢耕作/田口善弘/吉永良正/石浦章一/中西真人/佐倉統/子安和弘/今森光彦/森山和道

WWWトリップ

 とっても詳しい周期律表/神経細胞の動きを見る/最新の気象衛星の画像/北アメリカのマイマイガ

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 鳥はほんとうに恐竜の子孫か/バッキーボールを使用したナノテクノロジー/

 クエーサーのエネルギー発生機構  ほか

数学レクリエーション

 ゴルフボールの結晶学  I. スチュアート

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