
様々な組織へと育つ能力を持つ幹細胞は,病気やケガで失われた組織や臓器を再生する先端医療分野で注目されている。しかし世界には,それをまったく違う目で見ている研究者もいる。家畜の幹細胞を元手に,藻類由来の培養液などを使って,正真正銘の牛肉や豚肉をつくろうというのだ。トウモロコシやダイズなどの飼料は不要になり,農地不足も食糧難も解決,家畜の命も犠牲にせずにすむというのだが……。
再録:別冊日経サイエンス222「食の未来 地中海食からゲノム編集まで」
著者
Jeffrey Bartholet
ニューズウィーク誌のベテラン海外特派員で,同誌の元ワシントン支局長。
原題名
Inside the Meat Lab(SCIENTIFIC AMERICAN June 2011)