日経サイエンス  2011年9月号

人工知能の意識を測る

C. コッホ(カリフォルニア工科大学) G. トノーニ(ウィスコンシン大学マディソン校)

 意識を持つコンピューターや人間のようなロボットは小説や映画でおなじみだが,もちろん現実世界にはまだ登場していない。だが,将来のことはわからない。機械が知的存在として目覚めたとき,人類に対してどんな行動に出るのだろう? そもそも私たちは機械が意識を持つことを知ることができるだろうか? 「意識とは何か」という問いかけにもつながる難しい問題だが,そのテストは驚くほど簡単だ。例えば,駅のホームで腕時計を見ている人の写真と,空中で同じポーズを取っている写真を示し,「どちらがヘンだと思う?」と尋ねればよい。何のことはない質問に思えるが,正しく答えるには,膨大な量の統合された知識が必要になる。

 
 
再録:別冊日経サイエンス216「AI 人工知能の軌跡と未来」

著者

Christof Koch / Giulio Tononi

コッホはカリフォルニア工科大学認知・行動生物学のルイス・アンド・ヴィクター・トレンドル記念教授で,シアトルにあるアレン脳科学研究所の最高科学責任者。SCIENTIFIC AMERICAN MINDの編集顧問でもある。トノーニはウィスコンシン大学マディソン校睡眠医学のデイヴィッド・P・ホワイト記念教授で意識科学の特別教授。

原題名

A Test for Consciousness(SCIENTIFIC AMERICAN June 2011)

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