日経サイエンス  2011年7月号

しなやかなタンパク質

A. K. ダンカー(インディアナ大学) R. W. クリワッキ(セント・ジュード小児病院研究所)

 タンパク質は種類の異なるアミノ酸がいくつもつながってできた大きな分子で,その鎖が特定の形に折りたたまれている,と考えられてきた。実際,タンパク質分子の形(立体構造)が崩れると,機能を果たさなくなる場合が多い。ところが近年の研究で,数多くのタンパク質が完全な折りたたみ構造を作ることなく仕事をこなしていることが明らかになってきた。むしろ,この融通無碍な“しなやかさ”が重要なようだ。

著者

A. Keith Dunker / Richard W. Kriwacki

ダンカーはインディアナ大学医学部の生物物理学教授で,同大学の生命科学情報センターの所長も務める。30年間ウイルス研究に携わった後,1995年から天然変性タンパク質の研究に専念している。クリワッキは,テネシー州メンフィスにあるセント・ジュード小児病院研究所の構造生物学者。1996年,カリフォルニア州ラホーヤにあるスクリプス研究所で,完全な天然変性タンパク質の最初の例を報告した1人。

原題名

The Orderly Chaos of Proteins(SCIENTIFIC AMERICAN April 2011)

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