日経サイエンス  2011年6月号

もうひとつの温暖化危機 北上する赤道降雨帯

J. P. サックス(ワシントン大学) C. L. ミアボルド(在プリンストン大学)

 赤道の北側で地球をぐるりと取り巻いている雲,それが「赤道降雨帯」だ。この降雨帯は赤道付近の農業地域に恵みの雨をもたらすだけでなく,全世界の降雨パターンに影響を及ぼしている。著者らの研究によって,気温が上がれば降雨帯も北上し,気温が下がると南下することがわかった。降雨帯の位置は気温の変化に敏感に反応するのだ。今後予測される温暖化で,人々の暮らしが脅かされる事態が懸念されている。

 

 

再録:別冊日経サイエンス197「激変する気候」

著者

Julian P. Sachs / Conor L. Myhrvold

 サックスはシアトルにあるワシントン大学の海洋学准教授。主に分子技術と同位体技術を開発・駆使して,過去2000年間の気候と地球化学的・生化学的プロセスの解明に取り組んでいる。ミアボルドはプリンストン大学で地球科学を専攻している。最近の野外研究でサックスのアシスタント兼カメラマンを務めた。

原題名

A Shifting Band of Rain(SCIENTIFIC AMERICAN March 2011)

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