日経サイエンス  2011年6月号

特集:マグニチュード9.0の衝撃

科学者の思考停止が惨事を生んだ

滝 順一(日本経済新聞)

 福島第1原子力発電所の事故は原発事故の深刻度を表す国際評価で,旧ソ連のチェルノブイリ原発事故と同じレベル7となった。4つの原子炉施設が同時に深刻なトラブルに陥り大量の放射性物質を大気や海中に放出し続けた。 なぜこのような事態に陥ったのか? 大地震が起きる前の段階における,原発の耐震対策にかかわる政府や東京電力の発言や対応を振り返ると,「危機への想像力の乏しさ」があったことが浮かび上がる。地震学者の多くには「この地域では大地震は起こりえない」との思い込みがあった。東京電力が対策を練り直す機会はあった。約2年前,福島第1原発の耐震性が再検討されたとき,大津波が近い将来,やってくる恐れが指摘された。だが,特段の対策はとられなかった。

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再録:別冊日経サイエンス183「震災と原発」

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