日経サイエンス  2011年6月号

特集:マグニチュード9.0の衝撃

東日本大震災 鳴らされていた警鐘

中島林彦(編集部)

 2011年3月11日,三陸沖でマグニチュード9.0の超巨大地震が発生した。死者・行方不明者は約3万人,6万戸以上の建物が失われ,地震から1カ月が過ぎても避難者は10万人を大きく上回る。津波に洗われた福島第1原子力発電所では世界最大規模の事故が起きた。日本は先進国の中でもとりわけ地震災害が多く,地震研究や耐震対策が進んでいた。それでも今回の大地震は多くの地震学者にとって想定外だった。

 だが,警鐘は鳴らされていた。約1000年前の平安時代,三陸沖で巨大地震が起き,岩手県の三陸沿岸から福島県沿岸まで大津波が押し寄せたことが広域の地質調査でわかっていたからだ。同様の大津波が500~1000年間隔で襲来していることも判明,近い将来の津波再来が懸念されていた。しかしそうした研究成果が広く認識されないうちに「3.11」がやって来た。

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再録:別冊日経サイエンス183「震災と原発」

再録:別冊日経サイエンス217 「大地震と大噴火 日本列島の地下を探る」

 

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