日経サイエンス  2011年5月号

水産革命 200海里の生け簀

S. シンプソン(SCIENTIFIC AMERICAN 編集部)

 現在働き盛りの40代の人が生まれた1960年代,世界人口は30億人台半ばだったが,今は倍の約70億人,2050年までに93億人に達するとの予測もある。それだけの人々が食べるタンパク質をどこからひねり出せばよいか? 家畜を育てるには広大な土地と膨大な水,大量の化石燃料と肥料が必要だが,そろそろ限界を迎えている。天然魚の漁獲量もこの10年,頭打ち。希望は水産養殖だ。養殖というとマングローブの伐採や海洋汚染,赤潮など負のイメージもあるが,これから期待されるのは,従来の沿岸での養殖とは一線を画する外洋での大規模養殖。夢物語だと思われるかもしれないが,ハワイ沖などでそうした取り組みが始まっている。

 

 

再録:別冊日経サイエンス205「食の探究」

著者

Sarah Simpson

カリフォルニア州リバーサイド在住のフリーライター。SCIENTIFIC AMERICANの寄稿編集者でもある。

原題名

The Blue Food Revolution(SCIENTIFIC AMERICAN February 2011)

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