日経サイエンス  2011年2月号

サイエンス・イン・ピクチャー

リン採掘が生んだ強酸の湖

M. フィシェッティ(SCIENTIFIC AMERICAN編集部)

 リンの採掘には有益な面と気がかりな面がある。食糧生産に必要な肥料の重要な成分であるリン酸アンモニウムが得られる一方で,ここに示すように,大量の廃物が生じるのだ。

 

 米国ではいくつかの州でリン酸カルシウム鉱石が露天掘りされている。この鉱石を粉砕し,硫酸を加えてリン酸を作り,それをリン酸アンモニウムに転換する。このリン酸1トンにつき,「リン酸石膏」という土のような副産物が5トンできる。この灰白色の物質の大部分はブルドーザーで積み寄せられ,野積みにされる。

 

 そうした巨大な野積みの山は高さ60m,面積160ヘクタール以上に及ぶこともある。野積み1つに400万~1200万m3の廃水が含まれ,これが徐々にしみ出して小さな湖を作り,底の堆積物に光が反射して青や緑の色を帯びて見える。この水のpHは1と2の間で,猛烈な酸性だ。この写真は,フロリダ州にあるそうした野積みの一画と周辺の湖を示している。

 

 フロリダ州は世界のリン生産の約20%を担い,米国の農業で使われるリンの75%を供給している。これまでに10億トン以上のリン酸石膏が州内25カ所に野積みされている。そして毎年2800万トンがそこに加わっている。

原題名

Phosphorus Lake(SCIENTIFIC AMERICAN November 2010)

サイト内の関連記事を読む

キーワードをGoogleで検索する

ラドンガスリン酸石膏