日経サイエンス  2010年12月号

特集:「終わり」を科学する 

科学は終わらない

再スタート

SCIENTIFIC AMERICANの編集顧問

 科学技術の進歩によって,私たちは便利で,豊かな生活を手に入れた。一方で,地球温暖化などの環境問題が叫ばれ,人口急増による食糧不足も懸念されている。

 

 今後数十年間,科学界で注目されるであろう話題は何か? この記事ではSCIENTIFIC AMERICANの編集顧問を務める9人の科学者に聞いた。

 

 大容量情報通信時代が加速し,私たちの社会を支えるネッットワーク基盤はさらに高度化するだろう。石油からバイオ燃料などへの転換によってクリーンエネルギー社会が実現されるとともに,これは安全保障上も大きな意味を持つ。

 

 また,現在の生物学の爆発的進歩によって私たちの社会や生活は大きく変わる。個々人に合わせたオーダーメイド医療が登場し,合成生物学の技術によって生み出される細菌は環境汚染の克服や,新燃料の生成,保健・医療に役立つだろう。プラトンやアリストテレスの時代から多くの知識人を悩ませてきた「意識とは何か」に対する答えが見つかる可能性も多いにある。

 

 こうした進歩は,一方で弊害をもたらす危険性もある。合成生物学の技術を悪用して,人類にとって有害な人工生命を作り出す人も現れるかもしれない。こうした恐れを未然に防ぎ,より良い未来を実現するには,科学者の努力はもちろん,国家的・国際的な協力が欠かせない。

 

 

取り上げた9つの話題は

オーダーメイドの生物  A. カプラン(ペンシルベニア大学)

無限に記録できる時代  E. フェルテン(プリンストン大学)

システムが複雑に絡み合った時代  D. ヒリス(ロング・ナウ財団)

意識とは何かに答え  C. コッホ(カリフォルニア工科大学)

ヒトの起源をのぞき見る新しい窓  L. アイエロ(ウェンナー・グレン人類学研究財団)

健康に害を及ぼさないエネルギー  R. J. ウールジー(元米中央情報局長官)

石油が時代遅れに  M. ウェバー(テキサス大学オースティン校)/D. カメン(カリフォルニア大学バークレー校)

オーダーメイド医療  G. チャーチ(ハーバード大学)

次なる農業革命  J. レガノルド(ワシントン州立大学)

 

 

再録:別冊日経サイエンス194「化石とゲノムで探る 人類の起源と拡散」

原題名

What Comes Next(SCIENTIIFIC AMERICAN September 2010)

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