日経サイエンス  2010年12月号

ノーベル化学賞2人受賞 世界を変えたクロスカップリング

体外受精の父 エドワーズ博士

グラフェンの単離でガイム博士ら

中島林彦(編集部) 協力:山口茂弘(名古屋大学)

 2人の日本人科学者が2010年のノーベル化学賞を受賞した。北海道大学の鈴木章名誉教授と米パデュー大学の根岸栄一特別教授で,米デラウェア大学のリチャード・ヘック(Richard Heck)名誉教授との共同受賞。化学賞受賞の3氏の業績は貴金属パラジウムを触媒として使い,有機化合物を効率よく作るクロスカップリング反応の創出。とりわけ鈴木氏の名前を冠した「鈴木カップリング」は化学や製薬,エレクトロニクス産業などで不可欠になっている。日本はこの分野の層が厚くノーベル賞級の業績を上げた研究者が何人もいる。世界に名をとどろかす「鈴木カップリング」はいかにして生み出されたのか,そうしたパイオニアたちの活躍を交えて紹介する。また2010年のノーベル生理学・医学賞は体外受精のパイオニアに,物理学賞は2次元炭素物質グラフェンの実験研究者にそれぞれ贈られた。

協力:山口茂弘(やまぐち・しげひろ)
名古屋大学大学院理学研究科教授。専門は有機化学,典型元素化学,機能材料化学。玉尾皓平京都大学教授(当時)のもとで助手として研究した。現在はクロスカップリング反応を使って新しい機能性材料などの開発に取り組む。

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