日経サイエンス  2010年6月号

総力戦で初期宇宙に迫る

中島林彦(編集部) 協力:東京大学宇宙線研究所,東京大学数物連携宇宙研究機構

 スイス・ジュネーブ近郊に建設された史上最強の加速器LHCが,初期のトラブルを克服して再稼働し,これまでの最高記録を大幅に上回る衝突エネルギー7兆電子ボルトでの素粒子実験が2010年3月末に始まった。奥飛騨の神岡の地下などでは,宇宙初期の超々高エネルギー状態の素粒子反応で起きた現象を探るため,様々な実験の準備が進んでいる。天文衛星や天体望遠鏡による宇宙初期の観測研究もすそ野が広がり始めた。

 

 LHCの加速器実験や地下実験,天文観測などのデータを総合して理論研究を進める世界的拠点,東京大学数物連携宇宙研究機構(IPMU)の活動も本格化している。「宇宙の始まりや,すべてを統一する理論が徐々に見えてきているという感覚はある。実験や観測で得られた事実と,その解釈を順番に積み上げていって,本当の宇宙の初期の姿を見ていきたいと思う」とIPMUの村山機構長は話す。

 

 

再録:別冊175「宇宙大航海 日本の天文学と惑星探査の今」

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