
レンズと光によって物体を拡大して見られることを初めて述べた書物が書かれてから,もう少しでまる1000年になる。アラブの科学者イブン・アル=ハイサム(Ibn al-Haytham,アルハゼン)が虫眼鏡の特性を記述した『光学の書』を書き始めたのは1011年のことだった。そして,虫眼鏡の原理は後に顕微鏡の発明につながった。2009年の「オリンパス・バイオスケープ・デジタル画像コンペティション」の応募作品は,見えざるものを見えるようにするという1000年近く続いてきた努力とその進歩を,実に適切に体現している。
光学顕微鏡は世代を経るごとに技術的進歩を重ね,人間の目の解像度を超えたところに「小さきものの広大な世界」が広がっていることを示す驚くべき証拠を提供し続けている。その小宇宙の芸術的な美しさを,以下に紹介する写真に見て取ることができる。電気クラゲの触手にある毒素包含部はビーズが連なった帯に見え,単細胞藻類がずらりと並んだ様子は宝石であり,そしてトリケラトプスの骨の赤と黄色のパターンは派手なネクタイを思わせる。
入選作品と佳作から,私たちSCIENTIFIC AMERICAN編集部のお気に入りを選りすぐってお届けする。
このほかにも多くの画像のスライドショーと驚きの動画がサイエンティフィック・アメリカンのサイトで見られる。
http://www.ScientificAmerican.com/dec2009
オリンパス・バイオスケープ・デジタル画像コンペティションのサイトは
原題名
Illuminating the Lilliputian(SCIENTIFIC AMERICAN December 2009)
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