日経サイエンス  2009年11月号

天の導くままに 発光生物と半世紀

下村脩(ウッズホール海洋生物学研究所)

下村脩博士が2008年,ノーベル化学賞を受賞した。博士は米マサチューセッツ州に居を構え,今も研究に取り組んでいるが,2009年3月に一時帰国し,ゆかりの長崎大学と名古屋大学,東京で講演,人々に感銘を与えた。ここに博士が執筆された講演原稿(一部加筆)を紹介する。ノーベル賞に輝いた緑色蛍光タンパク質GFPの発見が,いかに多くの困難を乗り越えた末に成し遂げられたものかよくわかる。東京での講演で若い参加者から「研究で成果が出ず,壁に突き当たったときどうすればよいか」という質問があった。博士は少し沈黙した後,「ガンバレ,ガンバレ」と言った。会場は満場の拍手に包まれた。

再録:別冊日経サイエンス261『生命輝く海 ダイナミックな生物の世界』

著者

下村 脩(しもむら・おさむ)

2008年ノーベル化学賞受賞。長崎医科大学附属薬学専門部を卒業後,長崎大学薬学部,名古屋大学理学部を経てプリンストン大学研究員に。帰国後,名古屋大学助教授となるも2年で米国に戻り,プリンストン大学,ボストン大学,ウッズホール海洋生物学研究所を拠点に生物による発光の研究一筋の道を歩む。子息の下村努氏はコンピューターセキュリティーの専門家として世界的に知られる。

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