
ウイルス対策ソフトもファイアーウォールも,フィッシング対策も万全。これでパソコンの安全対策は完璧だ……と,思ってはいないだろうか。実は大きな落とし穴がある。こうした対策は,パソコンやネットワークの中にある情報しか守れない。パソコンの情報があなたの目や耳に入る途中で盗まれる「サイドチャネル攻撃」には無力なのだ。サイドチャネル攻撃は,すでに現実の危機として存在している。パソコンのモニターが発する高周波を拾ったり,プリンターの印字音を解析したりして情報を読み取る,ウェブカメラを乗っ取ってキー入力を解析する,といった手法だ。それほど凝った技術を使わなくても,パソコンのそばに置いたコップに映ったモニター画面を望遠鏡で捉えるだけで,かなりの部分や読み取れる。驚くべきことに,パソコン利用者の眼球に映り込んだ画面を読み取ることすら可能なのだ。サイドチャネル攻撃は,ウイルスやスパイウエアのように同時に何百万台ものパソコンを狙うことはできないが,銀行など一部の施設が標的になっている可能性は十分ある。IT社会の情報セキュリティーの死角,サイドチャネル攻撃の最先端研究を紹介する。
原題名
How to Steal Secrets without Network(SCIENTIFIC AMERICAN May 2009)
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サイドチャネル/セキュリティー技術/テンペスト/デコンボリューション/暗号