日経サイエンス  2008年12月号

特集:ネットが蝕むプライバシー

プライバシーに無分別な若者

SNS世代

D. J. ソロブ(ジョージ・ワシントン大学)

 米国では大学生のほとんどが自分のサイトを持ち,多くがFacebookやMySpaceといったソーシャルネットワーキング・サービス(SNS)に参加している。そこでは誰もが自分のプロフィールや日々の生活を書きつづり,写真や動画を載せている。現代の若者は,こうした自分の個人的な情報を公開し,それがほぼ永久に残ることにほとんど抵抗感をもたない。

 

 しかし実生活と同様,ウェブ上でも友人とのいざこざやいじめは起こりうる。そしてその規模は知り合いの間だけにとどまらない。たとえば喧嘩をした相手があなたの見られたくない写真や動画を投稿したりすれば,(そしてそれがもし面白ければ)またたく間に世界中に広がり,二度と抹消することはできなくなる。

 

 こうした若者たちが登場してきた時代にプライバシーを保護するには,プライバシーと個人情報の公開についての従来の考え方を改める必要があるかもしれない。

 

 

再録:別冊日経サイエンス212「サイバーセキュリティー」(改題)

著者

Daniel J. Solove

ジョージ・ワシントン大学ロースクールの法学教授。著書に「The Future of Reputation: Gossip, Rumor, and Privacy on the Internet」(Yale University Press,2007),「Understanding Privacy」(Harvard University Press,2008)がある。

原題名

The End of Privacy?(SCIENTIFIC AMERICAN September 2008)

サイト内の関連記事を読む

キーワードをGoogleで検索する

Google世代YouTubeニュースフィードブログプライバシー権