
戸塚洋二・東京大学特別栄誉教授は,師である小柴昌俊“大将”のもと,実動隊長として素粒子実験施設カミオカンデの建設を指揮し,超新星ニュートリノを発見した。後継施設のスーパーカミオカンデは自らが中心となって建設,ニュートリノ振動を発見して素粒子物理学の発展に大きく貢献した。続くニュートリノ振動の検証実験でも主導的役割を果たした。
戸塚氏は東京大学物理学科の学部生時代,空手に熱中し,授業にほとんど出ずに留年,大学院試験もビリの成績だった。しかし,小柴氏は戸塚氏の資質を見抜き,研究室に迎えた。戸塚氏は小柴氏の厳しい指導を受け第一級の研究者に育った。
ドイツで最先端の素粒子実験に取り組んだ戸塚氏は,チームで研究を進めることや研究における伝統の重要性を実地に学んだ。こうした30歳代半ばまでの蓄積がカミオカンデ以降のニュートリノ研究大発展の土台となった。
著者
戸塚洋二(とつか・ようじ)
東京大学特別栄誉教授,高エネルギー加速器研究機構名誉教授。静岡県富士市出身。県立富士高校から東京大学に進む。スーパーカミオカンデ研究代表者としてニュートリノ研究をリード,東京大学宇宙線研究所長を経て高エネルギー加速器研究機構長に。2006年から日本学術振興会学術システム研究センター所長を務める。仁科記念賞,文化勲章,米ベンジャミンフランクリンメダル,ヨーロッパ物理学会特別賞など内外の受賞多数。酒をたしなむ。趣味は山野歩き。
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