
世界をリードするようになった日本のニュートリノ研究はカミオカンデが超新星ニュートリノをとらえたことに始まるが,それはそもそも,小柴昌俊氏が1963年,東京大学物理学科の助教授に採用されて研究室を立ち上げ,素粒子研究のためにカミオカンデを建設したことが原点にある。
物理学科の助教授ポストは公募だったが,小柴氏自身,採用されるとは思っていなかった。有力な推薦状を持たない自薦での応募であり,当の物理学科を約10年前に「ビリで卒業していた」(小柴氏)からだ。
なぜ採用されたのか,小柴氏は不思議に思っていたが,深い交流があった朝永振一郎の生誕100年を迎えた2006年初夏,氏が何の気なしに昔の新聞記事を読んでいたら,その謎を解く手がかりが見つかった。「朝永先生だったのだ」。
著者
小柴昌俊(こしば・まさとし)
東京大学特別栄誉教授。超新星ニュートリノの観測などニュートリノ天文学におけるパイオニア的貢献で2002年にノーベル物理学賞を受賞。東京大学理学部を卒業後,同大学大学院を経て,朝永振一郎の推薦により米ロチェスター大学大学院に留学。シカゴ大学での宇宙線研究の後,東京大学原子核研究所助教授,東京大学理学部物理学科助教授を経て教授に。大統一理論が予言する陽子崩壊の探索のためカミオカンデを建設した。現在,平成基礎科学財団理事長として科学の面白さがわかる教育の普及に取り組む。
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