日経サイエンス  2006年10月号

中央アジアで見つかった世界最古の分銅

堀 晄(古代オリエント博物館)

 人類は長さ,時間(暦)などとともに,商取引の基本ともなる重さ(質量)を量ろうと試みてきた。まず棒の中心を吊り,両端に2つのものを吊して釣り合いのとれた場合に同じ重さとみなす天秤が考案され,標準となるおもりとして分銅が用いられるようになった。日本でもしばらく前までは,商店などでもよく使われていた。

 

 分銅はあらゆる重さが量れるようなセットが作られるのが普通だ。現在の標準的な分銅は1,2,5,10の単位で作られている。このセットがあれば,単位をグラム(g)とすると1gから18gまで,すべての整数値の重さが測定できる。少ない数の分銅で測定できるので,洗練されたシステムといえる。

 

 このほかにもさまざまなシステムが可能だ。古代においては2のn乗のシステム(1,2,4,8,16…)が一般的だった。次々に重い分銅を作れるからだ。まず,基準単位の分銅と,それと同じ重さの分銅を作る。そしてその分銅を合わせて天秤の片方の皿に載せる(1+1)と,もう一方に釣り合うのは次の重さ(2)となるので,分銅を作りやすく,量るのもたやすい。

 

 ここでは,これまでほとんど知られていなかったが,現存する分銅では世界最古と考えられる中央アジアの分銅を紹介したい。

著者

堀 晄(ほり・あきら)

古代オリエント博物館(東京都豊島区)研究部長。専門は中央アジア考古学で,イラン,イラク,シリア,トルコ,ウズベキスタンで考古学調査に従事。編著書に『文明学原論』(山川出版社),論文に“Proto-Indo-European: A Ruined Hypothesis”, 『古代オリエント博物館紀要』15など。

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