日経サイエンス  2004年8月号

宇宙の塵が明かす見えない惑星系

D.R. アルディラ(ジョンズ・ホプキンズ大学)

 私たちの太陽系はとても変化に富んでいて,惑星だけでなく多数の小惑星や彗星が存在する。他の惑星系はどうなのだろうか?謎解きのカギは宇宙の塵にある。

 

 天文学にとって過去10年間での大きな進歩の1つが,太陽系外惑星の発見だ。地球のような惑星が他にも存在するかもしれない。その可能性を示す初の具体的な手掛かりとなった。だが,この発見は謎解きの入り口にすぎない。これまでに見つかったのはほとんどが極めて大きな惑星で,太陽系に豊かな表情を与えている小惑星や彗星のような小型の天体は発見されていない。これら小天体は太陽系の主要構成員であると同時に,惑星のもととなった微惑星の名残としても重要な意味を持つ。

 

 太陽系外の小天体を探るため,それらの衝突でまき散らされた塵が観測されている。塵でできた「デブリ円盤」を伴う恒星が100個以上見つかり,うち10例あまりが画像に収められた。こうしたデブリ円盤には特徴的な構造を持つ例がある。円盤の中心付近に穴が開いている例のほか,環やゆがみ,塊などの構造が見られ,大規模な渦巻構造の例も1つある。

 

 もし円盤に対して傾いた軌道を回る惑星があれば,それに引っ張られて塵の軌道も傾き,円盤がゆがむことになる。惑星によって塵が払いのけられて円盤に穴や環ができるほか,惑星が通った跡に塊のような構造が生じる可能性もある。つまり,これらデブリ円盤の構造は惑星の存在を示唆している。太陽系以外でも太陽系とほぼ同様の過程によって惑星が生まれていると考えられる。

著者

David R. Ardila

コロンビアで育ち,首都ボゴタにあるロスアンデス大学で物理学を専攻した。その後,カリフォルニア大学バークレー校でPh.D.を取得,2002年にはジョンズ・ホプキンズ大学で高性能観測用カメラACSの科学チームに参加した。デブリ円盤のほか,原始星円盤や惑星形成,褐色矮星を研究している。妻のデビ,4歳の息子アレハンドロとともにボルチモア在住。四季の変化がある場所に住むのは初めてで,家族ともどもいまだにその生活に慣れていない。

原題名

The Hidden Members of Planetary Systems(SCIENTIFIC AMERICAN April 2004)

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