
無数の銀河は宇宙の中でどのように分布しているのか?大規模な観測によってその姿が明らかになってきた。原始宇宙のゆらぎから大構造が進化してきた歴史を,そこに読み取ることができる。
天文学者たちの手によって,銀河や銀河団の配置を示す詳細な3次元宇宙地図が作られている。中でも「スローン・デジタル・スカイサーベイ」は大規模な観測プロジェクトで,地球から20億光年の範囲内にある約100万個の銀河の位置を特定しつつある。
こうした地図から,多数の銀河が何億光年にもわたって広がる巨大な構造を作り上げていることがわかる。一連の観測によって,銀河の密度ゆらぎが高い精度で定量化された。その結果は宇宙マイクロ波背景放射(CMB)のゆらぎから予想される値と一致する。これによって,140億年に及ぶ宇宙の進化に一貫した説明がつくようになった。
宇宙誕生直後の原始ゆらぎから現在の明るい銀河団ができるまで,宇宙構造の進化が完全に解き明かされる日は近い。とはいえ,それは今後の研究にかかっている。そもそも背景放射にゆらぎを生み出した根本原因は何だったのか?銀河はどのようにして誕生したのか?なぜ現在見られるような性質の銀河に進化したのか?初期のゆらぎがもっと大きい,あるいは逆に小さいような,別の宇宙があってもおかしくはなかったのではないか?
このように大きな謎がまだたくさん残っている。この記事を読んだ若者たちが解決に挑んでくれるだろう。
著者
Michael A. Strauss
全天の1/4の地図作成を目指すスローン・デジタル・スカイサーベイの副代表および広報担当。カリフォルニア大学バークレー校で物理学のPh.D.を取得した後,カリフォルニア工科大学とプリンストン高等研究所(ニュージャージー州)でポスドク研究員となり,現在はプリンストン大学で教職にある。一連の見事なデータを提供してくれたスローンプロジェクトの仲間たちに謝意を表している。
原題名
Reading the Blueprints of Creation(SCIENTIFIC AMERICAN February 2004)
サイト内の関連記事を読む
グレートウォール/バイアスモデル/パワースペクトル/宇宙原理/暗黒物質/泡構造/赤方偏移
キーワードをGoogleで検索する
宇宙原理/赤方偏移/泡構造/グレートウォール/暗黒物質/バイアスモデル/パワースペクトル