日経サイエンス  2003年10月号

人はなぜガンになるのか 発ガン仮説の最前線

W.W. ギブス(SCIENTIFIC AMERICAN 編集部)

 ガンの発生メカニズムの研究が進むにつれて,長年信じられてきた発ガンの「標準理論」が揺らいできた。従来は,ガン抑制遺伝子と発ガン遺伝子という2つのガン関連遺伝子に発ガン因子などが原因で変異が生じた結果,細胞がガン化すると考えられていた。しかし,この理屈だけでは現実のさまざまなガンの発生をうまく説明できない。ガン遺伝子の世界的な研究者R.ワインバーグをはじめ,多くの研究者が従来の説に変わる新しい理解を求めて模索している。

 

 標準理論に代わって登場したのが,遺伝子ではなく染色体の異常に着目する考え方だ。新しい仮説は3つあるが,そのうち2つが染色体に焦点を当てている。

 

 第1の仮説は標準理論の修正版。最初にダメージを受けるのはDNAの修復にかかわる遺伝子で,この機能が失われたために多数の遺伝子が損なわれ,結果としてガン関連遺伝子にも変異が生じる。第2,第3の仮説はいずれも染色体の大規模な変化(異数性)を原因とするが,一方はガン関連遺伝子の変異を組み込んだ説,他方はガン関連遺伝子が介在しない考え方だ。

原題名

Untangling the Roots of Cancer(SCIENTIFIC AMERICAN July 2003)

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