日経サイエンス  2003年2月号

SCIENTIFIC AMERICANが選んだ 2002年のベスト50

 SCIENTIFIC AMERICAN誌は科学技術分野で大きな功績をあげた「ベスト50」を選定した。評価のポイントは「優れたビジョンを提示したこと」。科学技術の発展は研究者だけでなく産業界などとの協力によるとの考え方から,12の分野について研究者,企業人,企業,政策リーダーをそれぞれ選定。さらに最優秀の研究リーダーとビジネスリーダーを選んだ。日本からはホンダの吉野浩行社長が交通分野のビジネスリーダーに選ばれた。
最優秀研究リーダーに選ばれたのはイネのゲノムを解読した3人の科学者。シンジェンタ社トレイ・メサ研究所のS. ゴフはジャポニカ種のイネについて,北京ゲノム研究所のH.ヤンとワシントン大学(シアトル)ゲノムセンターのJ. ユウはインディカ種について,それぞれ塩基配列の概要を明らかにした。

 

 

 最優秀ビジネスリーダーはゼネラル・ハイドロジェン(カナダ・バンクーバー)のG.バラード会長。長年にわたって小型で経済的な燃料電池の開発に貢献してきたほか,車載用の高圧水素貯蔵容器など,クリーンな燃料電池自動車を普及させるうえでの基盤となる技術の開発に積極的に取り組んでいる。
 ホンダの吉野社長は“技術者魂”を持つ経営者として,クリーンな自動車を追求する姿勢が注目された。SCIENTIFIC AMERICAN編集部は「燃費基準を引き上げる米上院の法案への反対キャンペーンに参加することを拒否し,自動車メーカーの結束をあえて乱した。カリフォルニア州による温暖化ガス削減法案にも反対しなかった」として,吉野社長を「技術者中の技術者」と評している。
 交通のほか,農業,化学と素材,通信,コンピューター,防衛技術,エネルギー,環境,製造技術,医療診断,医療,交通,技術一般の合わせて12分野について,特色あるビジョンを打ち出したリーダーを選んだ。