日経サイエンス  2001年12月号

特集:ナノテクノロジー 

極微の世界の大きな可能性

プロローグ

G. スティックス(SCIENTIFIC AMERICAN編集部)

 大流行のナノテクノロジー,果たしてその未来は輝かしいのか。ナノテクとは一体何なのか?

 

 1ナノメートル(nm)とは100万分の1mmという極微の世界だ。砂糖分子の直径の大きさで,10個の水素原子が互いに接して並ぶ長さ,典型的なバクテリアの1/1000の大きさだ。

 

 いまやナノテクノロジーは科学と技術にまたがって活気を帯びている分野で,極めて多くの研究者がこの分野に参入してきている。彼らは固体物理,工学,分子生物学,化学一般を横断的に活用している。かつて材料科学者や有機化学者と名乗っていた人たちが,いまではナノテクノロジストと名乗り始めている。

 

 ナノテクノロジーが注目を浴びるようになった一因は昨年の教書で,クリントン前米大統領が「国家ナノテクノロジー戦略」を提唱したことだろう。ナノサイエンスとナノテクノロジーを加速するため,米連邦2001会計年度予算は4億2200万ドルで前年より56%増額になっている。

 

 「ナノテクノロジー」という言葉を造語したのは日本人で,1974年に当時東京理科大学教授だった谷口紀男氏が初めて使ったという。

 

 ドレクスラーの著書『創造する機械』の発表以来,ナノという言葉は過熱気味だ。今後何が本物で,何がナノサイエンスではないのかを識別していくことが大切だ。

原題名

Little Big Science(SCIENTIFIC AMERICAN September 2001)

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