日経サイエンス  2001年1月号

特集:次世代モバイルIT

携帯ネットの命運握るWAP

K.J. バンナン(フリーランスライター)

 携帯電話の小型ディスプレーでは大きな画像や複雑な文字を表示できない。インターネットの多様な情報を携帯電話向けに自動的に“翻訳”してくれるのがWAPと呼ぶ通信規約だ。次世代携帯電話が普及するにはWAPがカギを握っている。

 

 ワイヤレスインターネットが普及するための第一歩は何だろうか。現在,通信業界をリードしている企業の多くは,ワイヤレス・アプリケーション・プロトコール,つまり「WAP」と呼ばれる一連の通信規約が無線インターネット普及へのカギになると確信している。

 

 ここ数年,通信会社大手は相次いでワイヤレス方式のデータ通信サービスを導入した。携帯電話のユーザーがインターネットから情報を引き出し,それを電話端末の小さな画面上に表示するサービスだ。WAPとは,インターネット上の文書を携帯電話やポケットベル,携帯型パソコンなどに伝送する方式を標準化したものだ。

 

 欧州では既にいくつかの無線サービス会社がデータ通信サービスにWAP標準を導入した。米国でもスプリントPCS社やネクステル社をはじめとする企業が近い将来,WAPを導入する計画を表明している。

 

 WAPの支持者たちは,WAPの採用によって無線インターネット市場の成長が加速すると主張している。しかし,批判も少なくない。WAPは,ユーザーがインターネットに接続するのを極度に制限することになり,「適切な技術でない」というのがその理由だ。WAPは本当に,無線データ通信の黄金時代の到来を告げる技術になるのか。あるいは出発点からボタンを掛け違うことになるのか。状況はまだ不透明だ。

著者

Karen. J. Bannan

フリーランスのライターで,New York Times, Wall StreetJournal, Internet World, PC Worldなどに寄稿している。

原題名

The Promise and Perils of WAP(SCIENTIFIC AMERICAN October 2000)