日経サイエンス  2001年1月号

メソポタミア文明の知られざる都市ナバダ

J.ブレッツシュナイダー(カソリック大学)

 チグリス川とユーフラテス川に挟まれたイラクの「肥沃な三日月地帯」は,古代文明の発祥の地として有名だ。この南部メソポタミア地方に対して,現在のシリアに相当する北部メソポタミア地方は,これまで考古学者たちに重要視されてこなかった。近年,北部の発掘も進み,4800年前の古代都市ナバダの遺跡が発見された。調査が進むにつれ,北部メソポタミアの都市も,南部の都市に匹敵するほど,文化や統治システムが発達していたことが明らかになった。

 

 

再録:別冊日経サイエンス189 「都市の力 古代から未来へ」

著者

Joachim Bretschneider

ドイツ,ミュンスターのウィルヘルム大学で考古学とオリエント学を学んだ。現在ルーベンのカソリック大学の助教授。彼はテル・ベイダール合同調査団に参加しているドイツ隊(ミュンスター大学の古代オリエントセミナー派遣)を率いている。

原題名

Nabada:The Buried City(SCIENTIFIC AMERICAN October 2000)