日経サイエンス  2000年5月号

海の透明な生き物たち

S.ジョンセン(ウッズホール海洋生物学研究所)

 クラゲの仲間や巻き貝の仲間などに,体の中まで透き通った生き物がいる。透明なのは,捕食者から身を守るためだが,体を見えないようにするために,体の表面や中の組織の形には巧妙な工夫がされている。これらの生物が進化によって自然に獲得した方法は,レンズの技術や,家の塗装など人間の最新の科学技術に匹敵する。

 

 

再録:別冊日経サイエンス192 「不思議の海」

著者

Sonke Johnsen

もともと数学や芸術の素養があり,生物学の分野に進んでからは,美しく数学的にも理にかなった動物の形に魅せられてしまった。マサチューセッツ州ケープコッドにあるウッズホール海洋学研究所で,視覚や生物発光などの海洋生物と光に関係することや,また紫外線や磁場が海洋生物に及ぼす影響について研究している。

原題名

Transparent Animals(SCIENTIFIC AMERICAN February 2000)