日経サイエンス  2000年4月号

共存していた多様な化石人類

文・I. タッタソール(アメリカ自然史博物館) 絵・J. H. マターンズ

 私たち人間は,ヒト科のホモ・サピエンスという種に分類される。かつては,アウストラロピテクスから徐々に,現代型のヒトに進化したとされてきた。だが,化石の発見が増えるにつれ,ヒト科には多様な種がいたこと,ある時期には,少なくとも4種の人類が同じ地域に共存していたことなどがわかってきた。なぜホモ・サピエンスだけが生き残ったのだろうか。ヒト科の複雑な進化の歴史とホモ・サピエンス誕生の謎に迫る。

 

 いくつもの人類を巧みに描き分けるマターンズのイラストも多数掲載。

著者

Ian Tattersall / Jay H. Matternes

彼らは,1990年代初めから仕事を共にしており,ニューヨークのアメリカ自然史博物館の人間の生物学と進化のホールが有名だ。日本の群馬県立自然史博物館の展示も手がけた。 タッターソルは英国生れで,東アフリカで育った。アメリカ自然史博物館の人類学部門の学芸員である。彼の最新の著作には『最後のネアンデルタール人』(別冊日経サイエンス127,高山博訳,日経サイエンス社,1998年), Becoming Human: Evolution and Human Uniqueness (Harcourt Brace,1998)がある。 マターンズは,絵画と彫刻を手がけ,過去40年間,化石霊長類と化石人類を専門としてきた。博物館の絵以外に,本,雑誌,テレビ用のイラストでも有名だ。

原題名

Once We Were Not Alone(SCIENTIFIC AMERICAN January 2000)