■遺伝子診断
1. 遺伝子診断
2. 遺伝子の本質を解明する
3. 遺伝的な誤りが原因となる病気
4. 最先端を行く
5. すべてを物語る遺伝配列をふるいにかける
6. 病気の遺伝子探しに狙いを定める
7. 病気の遺伝子の配列を明らかにする
8. 革新的な複製技術の誕生
9. 結腸ガンの遺伝子を追う
10. 変質する医療
11. 遺伝子診断が投げ掛ける社会的ジレンマ
12. クレジット
遺伝子診断が投げ掛ける社会的ジレンマ
 ハンチントン病などの難病の場合は,遺伝子診断で病気を予測できても,残念ながら予防や治療はできない。こうした病気の遺伝子診断は倫理的にも心理的にも,法律的にもジレンマとなっている。最近では,遺伝子診断で陽性だからといって保険への加入や雇用を拒否されないよう,連邦法の整備が進んだ。いくつかの州では遺伝子診断の結果に基づく保険差別を禁止する法律が成立した。しかし,検査結果が陽性だったことから起きる精神的な打撃も重要な懸念材料だ。

 政治家や政策立案者,科学者たちは,遺伝子診断の社会的なルールを探っている。1994年に米国医学研究所が出した報告書は,遺伝子診断の指針を示した。遺伝子診断を受ける人への十分な説明とカウンセリングのほか,治療や予防のできる一般的な病気については遺伝子診断を差し控えるよう求めている。ヒトゲノム(人間の全遺伝情報)解読プロジェクトでは,遺伝子研究の恩恵を最大化し,社会的・経済的・心理的なマイナスを最小にするような研究の進め方を確立するための調査を支援している。遺伝子に基づく病気の予測が医療を新たな段階に導き,その有用性を高めるよう,法律的・倫理的・社会的な政策が求められている。
   
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原文はNASのBeyond Discoveryでご覧になれます。
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