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BEYOND DISCOVERY
日経サイエンス
■オゾン層の破壊
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1. オゾン層の破壊
2. 原因は何か
3. 2つの顔をもつオゾン
4. 地球の大気を探索する
5. CFC研究が本格化
6. 犯人は化学物質
. オゾンホールの出現
8. 相次ぐ証拠
9. 災厄は遠のいた
10. クレジット
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BEYOND DISCOVERY
THE PATH FROM RESEARCH TO HUMAN BENEFIT
■2つの顔をもつオゾン
 オゾンとは酸素原子3個が結びついてできた割と単純な分子だ。しかし,オゾンはその居場所によってまったく違う振る舞いをする。地表近くにあるオゾンが生物に直接触れると,有害物質として働く。オゾンはさまざまな分子と激しく化学反応するので,高濃度の場合は生物にとって毒物となる。一方,地球全体のオゾンのおよそ9割は大気上層にあり,紫外線を吸収するという有益な役目がある。大気中にこの「ガス状の防御壁」がなければ,有害な紫外線の通り道ができ,地表を直撃する。
 
image03 南極上空でオゾン層が薄くなるのは,気象条件とCFCの化学的特性とが複雑に絡んでいるからだ。CFCの大半は欧州やロシア,日本,北米など北半球で放出されている。これが地球全体のオゾンを減少させる大きな要因になっている。

 地球規模の観測結果からは,成層圏オゾンは少なくとも過去20年間にわたって減り続けている。欧州から北米,オーストラリアに及ぶ広範な地域の上空で,冬から春にかけては約10%,夏から秋には約5%減った。最近では北極上空でもオゾン層破壊が発見され,状況は年々悪化しているとみられる。国連の報告書によると,北半球では過去10年間で地表に達する有害な紫外線量が5%増えた。

 悪性の皮膚ガンも過去40年にわたって世界全体で目立って増えている。現在の発生率は1950年代の10倍だ。悪性皮膚ガンが急増した原因はほかにもあるが,オゾン層破壊と紫外線の増加が関連していることは間違いない。現在では,成層圏オゾンが1%減少すると,ある種の皮膚ガンが2~3%増えると推定されている。
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原文はNASのBeyond Discoveryでご覧になれます。
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