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BEYOND DISCOVERY
日経サイエンス
■オゾン層の破壊
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1. オゾン層の破壊
2. 原因は何か
3. 2つの顔をもつオゾン
4. 地球の大気を探索する
5. CFC研究が本格化
6. 犯人は化学物質
. オゾンホールの出現
8. 相次ぐ証拠
9. 災厄は遠のいた
10. クレジット
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BEYOND DISCOVERY
THE PATH FROM RESEARCH TO HUMAN BENEFIT
■原因は何か
 南極のマクマード科学基地は1年のうち4カ月もの間,暗闇に包まれる。ある日,地平線上に太陽が再び顔をのぞかせ,日照時間は日増しに長くなる。こうして厳しい極地の冬は徐々に春へと装いを変える。

 しかし,春は同時に,これとは違う光も南極にもたらす。恵みの光ではなく,害悪をもたらす光だ。芽吹きと再生の季節であるはずの南極の春は,再びオゾンホールができる季節でもあり,有害な紫外線が地球大気をすり抜けて来るようになる。
 
image02 オゾンホールの寿命は2カ月程度しかないが,まさに最悪のタイミングで発生する。眠っていた動植物が日差しで目覚めるのと同時に,有害な紫外線を浴びることになるからだ。これが8週間続いた後,オゾンホールは南極上空から離れ,ニュージーランドやオーストラリアなど人口の多い地域の上空を通過する。高エネルギーの紫外線は生物に有害で,皮膚ガンや目の病気の原因になったり,免疫系に悪影響を及ぼしたりする。生態系全体の微妙なバランスまで崩してしまう。

 現在では,工業製品に含まれる塩素が大気上層のオゾン分子を破壊し,オゾンホールを作り出すことがわかっている。だが20年前には「工業化学物質がオゾンを破壊する」などと真面目に考える科学者はほとんどいなかった。地上での研究や航空機,衛星を利用した長年の研究の結果,塩素の発生源が断定された。スプレー缶や発泡梱包材,冷媒などに使われてきた「クロロフルオロカーボン(CFC)」という人工化学物質だ。
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原文はNASのBeyond Discoveryでご覧になれます。
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