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BEYOND DISCOVERY
日経サイエンス
エイズウイルスを無力に
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1. イントロダクション
2. 酵素の働きを探って
3. 阻害剤を設計する
4. エイズへの挑戦
5. ウイルスの繁殖を抑える
6. 標的をたたく
. 新たな展望
8. クレジット
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BEYOND DISCOVERY
THE PATH FROM RESEARCH TO HUMAN BENEFIT
 エイズウイルスを無力に
 ――プロテアーゼとその阻害剤
■ イントロダクション
image1 1980年代,エイズ(免疫不全症候群)に感染した患者のほとんどは死を免れなかった。体の免疫系が破壊され,体力が弱って消耗し,死に至る。病原体はHIV(ヒト免疫不全ウイルス)と呼ぶウイルスだ。しかしいまや米国をはじめ先進各国では,HIV感染者の運命は劇的に様相が違ってきた。1996年に「プロテアーゼ阻害剤」と呼ばれる医薬品が導入されたおかげだ。1996年から1998年の間に,米国ではHIV感染に伴う死者が70%以上も減り,エイズは死因の上位10位から外れた。エイズの死亡率は統計がとられるようになった1987年以降,1998年に最低となり,さらに低下する見通しだ。
 
 プロテアーゼ阻害剤はエイズと戦うための新たな手だてだが,実は20年近く前から血圧降下剤として広く使われてきた。「カプトプリル」という薬がその第一号だ。医師も患者も,プロテアーゼ阻害剤ではエイズを治すことはできず,ひどい副作用があることも知っている。さらに,エイズウイルスはすぐに変異するので,投与を続けるうちに薬剤耐性を持つウイルスがいずれ登場してしまう。それでもプロテアーゼ阻害剤は,わずか数年前にはまったく望みのなかったエイズ患者たちに,新たな生きる希望をもたらした。以下の記事は,人体の生化学を深く理解しようと多くの科学者たちが取り組んだ基礎研究が糸口となり,こうした延命薬の開発につながった過程を描いている。
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原文はNASのBeyond Discoveryでご覧になれます。
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