現代の通信
1. 現代の通信─レーザーと光ファイバーの技術革新
2. インターネットで救命
3. 可視光を使うか?
4. 20世紀の物理学
5. 半導体レーザー
6. 光ファイバーの登場
. 実用システムの開発
8. 光通信の活躍
9. 活発に続く基礎研究
10. クレジット
光通信の活躍

 光通信システムの普及にわくわくするような前途が開けた。米国では鉄道路線が長距離光ファイバー敷設にうってつけの用地となった。光ファイバーケーブルの信頼性は高く,列車の通過によって激しい振動が生じても影響を受けないのだ。敷設作業は当初,ゆっくりと進んだ。1978年の光ファイバー敷設距離は全世界でわずか960kmに過ぎなかった。1980年にAT&Tはボストン・ワシントン間の主要都市を結ぶ約1000kmの敷設計画を連邦通信委員会に提出した。4年後にそのシステムが運用に入った時には,太さがわずか2.5cm足らずのケーブルで電話8万回線分を同時に送れるようになった。その時点で光ファイバー敷設距離は米国だけで40万kmに達し,地球から月までの距離を上回った。

 同様の光ファイバーは海底ケーブルにも使われるようになった。1988年,初の大西洋横断光ケーブルが運用に入ったが,これには透明度の高いガラスを用い,中継器の間隔を60km以上にできる光ファイバーが使われた。3年後,もう1本の海底ケーブルが敷設され,容量は2倍になった。太平洋を結ぶ光ファイバーケーブルも敷設・運用されるようになり,米国とアジアとの貿易拡大に伴って増えてきた通信需要をまかなうようになった。

   
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原文はNASのBeyond Discoveryでご覧になれます。
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