現代の通信
1. 現代の通信─レーザーと光ファイバーの技術革新
2. インターネットで救命
3. 可視光を使うか?
4. 20世紀の物理学
5. 半導体レーザー
6. 光ファイバーの登場
. 実用システムの開発
8. 光通信の活躍
9. 活発に続く基礎研究
10. クレジット
可視光を使うか?
 ラジオ・テレビから電話,パソコン通信まで,現在の通信は搬送波を使っている。ある特定の周波数の電磁的な波だ。電磁的な信号は波長(波の山から山までの間隔)や周波数(1秒間あたりの繰り返し回数で,ヘルツという単位で表す)で表されるB波長が短いほど周波数は高い。この搬送波を変調することにより,情報が送れるようになる。搬送波の周波数が高ければ高いほど,多くの情報を送れる。

 単純な銅線で送れるのは周波数1メガヘルツ(毎秒100万回の繰り返し)までで,音声にして数十回線分に過ぎない。周波数が高くなると銅線の電気抵抗が大きくなるからだ。そこで,第2次世界大戦後には同軸ケーブルの利用が広まり,都市間の幹線に使われるようになった。同軸ケーブルは中心に導線があって,周囲からの干渉を受けないようなシールド構造を備えているため,周波数が10ギガヘルツ(毎秒100億回の繰り返し)までの信号を送れる。ただ,長距離に敷設するには比較的高くつくほか,40ギガヘルツまで送れる通信衛星やマイクロ波ですら,チャンネルあたりの情報伝送容量という点では通信需要をまかないきれなくなりつつあった。

 通信手段に可視光を使うというアイデアは1870年代のベル(Alexander Graham Bell)にまでさかのぼるが,彼は搬送波として利用できるような光をつくれなかったし,ある地点から別の地点へ光を送る方法もなかった。1960年,アインシュタンイン(Albert Einstein)が40年以上も前に発案したアイデアをもとに,レーザーが発明された。この成果によって可視光を通信手段に使う研究が勢いづき,数年後には光ファイバーが登場した。
   
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原文はNASのBeyond Discoveryでご覧になれます。
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