現代の通信
1. 現代の通信─レーザーと光ファイバーの技術革新
2. インターネットで救命
3. 可視光を使うか?
4. 20世紀の物理学
5. 半導体レーザ
6. 光ファイバーの登場
. 実用システムの開発
8. 光通信の活躍
9. 活発に続く基礎研究
10. クレジット
現代の通信─レーザーと光ファイバーの技術革新
 出張でサンフランシスコに来ている。時間は午後11時半だ。東部バージニア州にある自分のオフィスに届いたメッセージをチェックしたい。まず,会社に電話してボイスメールを確認する。次にホテルの部屋の電話回線ジャックに携帯パソコンをつないでキーを叩き,電子メールを読む。南アフリカからの引き合いと,アルバカーキに住む妹やデトロイトにいる同僚からのメッセージが届いていた。返事を書く前にインターネットをちょっと調べ,同僚に教えるオンラインニュースの名称や妹に薦めようと思う本の題名を捜し出す。それを打ち込み,キー操作をすると,一瞬にしてアルバカーキとデトロイトに電子メールが届く。時差の関係で南アフリカでは翌日の始業時間になっていることに気づき,電話を入れる……。

 10年ほど前には,こんなに簡単にはいかなかった。当時は,コンピューターと通信の両分野で,非常に重要な技術が姿を現し始めたばかりだった。大西洋を横断する初の光通信ケーブルが敷かれたのは1988年で,「情報スーパーハイウェイ」は実現途上だった。

 光ファイバーは世界の通信を支える屋台骨だ。このガラス繊維は髪の毛よりも細いが,強度は鋼線を上回り,細く絞ったレーザー光に膨大なデータをのせて伝送できる。レーザーと光ファイバーのおかげで国際電話の容量は格段に高まった。コンピューターの性能も著しく向上し,インターネットという新たな通信手段が飛躍的に伸びた。

 次の記事は,長距離光通信を可能にしたレーザーと光ファイバーに関して,その着想と開発の歴史を描いている。アイシュタインによる量子力学の研究にさかのぼり,基礎研究がいかにして実用的な応用に結びついたかを示している。その道筋は試行錯誤の繰り返しで,研究が始まった時には何も予想できなかった。
   
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原文はNASのBeyond Discoveryでご覧になれます。
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