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BEYOND DISCOVERY
日経サイエンス
人工内耳の進歩
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1. イントロダクション
2. 黎明期
3. 内耳が音を認識する仕組み
4. 耳が聞こえなくなるわけ
5. 人工内耳技術の発展
6. 蝸牛は脳に何を伝えるのか
7. 聴神経が壊れると…
8. 有毛細胞の働き
9. 内耳が発する音
10. 補足記事
人工内耳と聴覚障害者の文化
11. 補足記事
難聴の5大原因
12. クレジット
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BEYOND DISCOVERY
THE PATH FROM RESEARCH TO HUMAN BENEFIT
■補足記事
■人工内耳と聴覚障害者の文化
 ジョージ・ガルシアが人工内耳の埋め込み手術を受けると(本文参照),聴覚障害者の友人たちから村八分にされた。彼らは人工内耳移植手術を受けるという彼の決断を一種の自己否定とみなしたようだ。こうした反応は珍しいことではない。健常者にとっては意外なことだが,聴覚障害者の間には人工内耳に対する根強い反対がある。
 
 聴覚障害者には,彼らのコミュニティー独特の文化に満足し,難聴を治療すべき障害とは考えていない人が多い。聴覚障害者のコミュニティーでは,幼児への人工内耳移植が特に嫌われている。例えば米国聴覚障害者協会は,幼いうちに人工内耳の移植を受けた子どもが,そうでない難聴の子どもよりも言葉をよく覚えるなど教育成績が良くなる証拠はないと主張する。
 
 しかし,米国立衛生研究所(NIH)が任命した調査委員会は,これとはいくぶん異なる結論に達した(JAMA 274:1955, 1995)。同委員会はこれまでの研究結果によると,人工内耳が有効なのは,言葉を覚える前に聴覚を失った人よりも,言葉を覚えた後に聴覚を失った場合であることを認めている。しかしそれでも,2歳未満の幼児に対する人工内耳移植も検討すべきだと提案した。子どもが言葉を習得するうえでは耳からの入力が重要だが,2歳前にはその重要な時期が終わってしまうからだ。
 
 2つの考え方はうまく和解できるはずだ。聴覚障害者の言葉と健常者の言葉の両方を使うことに価値を認める人々によって,解決点が見いだされつつある。聴覚障害者は,人工内耳で聴覚を回復したとしても,手話を巧みに使うことができ,聴覚障害者特有の豊かな文化を担い続けると同時に,より大きな聴覚健常者文化へも参画できるのだ。
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原文はNASのBeyond Discoveryでご覧になれます。
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