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BEYOND DISCOVERY
日経サイエンス
人工内耳の進歩
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1. イントロダクション
2. 黎明期
3. 内耳が音を認識する仕組み
4. 耳が聞こえなくなるわけ
5. 人工内耳技術の発展
6. 蝸牛は脳に何を伝えるのか
7. 聴神経が壊れると…
8. 有毛細胞の働き
9. 内耳が発する音
10. 補足記事
人工内耳と聴覚障害者の文化
11. 補足記事
難聴の5大原因
12. クレジット
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BEYOND DISCOVERY
THE PATH FROM RESEARCH TO HUMAN BENEFIT
■有毛細胞の働き
 現在では有毛細胞の働きを人工内耳に代行させることができる。しかし,有毛細胞の働きを研究すれば,いずれは傷ついた有毛細胞を修復できるようになるかもしれない。有毛細胞が音を電気信号に変え,これが神経によって脳に伝わるのではないかと考えられたのは1851年にさかのぼるが,このすばらしい働きがようやく解明されたのは過去30年間のことだ。有毛細胞に関する最新かつ最も広範囲な生理学的研究は,現在はロックフェラー大学に在籍するハドスピス(A. James Hudspeth)らが行った研究だ。彼らは当初,カエルの聴覚系を研究していた。カエルの聴覚器には,哺乳類の蝸牛に見られるものと非常によく似た有毛細胞がある。ハドスピスは非常に精密な一連の実験を1977年から開始し,有毛細胞を1つずつ分離して非常に小さなガラス製の電極を通すことに成功した。彼らは小さな探針を精密に操作して不動毛をそっと押し,このときの有毛細胞内の電気活性を電極で測定した。そして,不動毛をほんの少し押しただけで有毛細胞が反応することを発見した。わずか100ピコメートル(100億分の1メートル)だけ動かせば十分で,この距離は一部の原子の直径よりも小さいほどだ。
 
imageimage 有毛細胞は他の興奮性神経細胞と同様に微小な電池であり,内側には陰イオンが多く,外側は陽イオンが超過した状態にある。不動毛が動くと,不動毛の表面にある微小な穴が開いて陽イオンが細胞内に流れ込み,「脱分極」が起こる。この脱分極が一連の生化学的反応を引き起こす結果,有毛細胞は神経伝達物質(神経の間で電気信号を伝える化学物質)を放出する。放出された神経伝達物質は有毛細胞と神経細胞の小さな隙間を移動し,神経細胞の受容体に到達する。神経伝達物質が受容体に接触すると,神経線維の脱分極が起こり,電気信号が発生する。この信号が脳に向かって聴神経を伝わっていく。
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原文はNASのBeyond Discoveryでご覧になれます。
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