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BEYOND DISCOVERY
日経サイエンス
人工内耳の進歩
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1. イントロダクション
2. 黎明期
3. 内耳が音を認識する仕組み
4. 耳が聞こえなくなるわけ
5. 人工内耳技術の発展
6. 蝸牛は脳に何を伝えるのか
7. 聴神経が壊れると…
8. 有毛細胞の働き
9. 内耳が発する音
10. 補足記事
人工内耳と聴覚障害者の文化
11. 補足記事
難聴の5大原因
12. クレジット
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BEYOND DISCOVERY
THE PATH FROM RESEARCH TO HUMAN BENEFIT
■黎明期
 話は紀元前6世紀の古代ギリシャにさかのぼる。哲学者にして数学者のピタゴラス(Pythagoras)は,音は空気の振動だと考えた。彼の後継者たちは,音波が鼓膜を振動させ,その振動が耳の奥へと伝わるのだと理解した。しかし,聴覚の理解はなかなか進まなかった。聴覚の理解が次に大きく進歩したのは700年も後のことだ。紀元175年,ギリシャの医学者ガレノス(Galen)は,神経が音の感覚を脳に伝えているのだと理解した。
 
image 1800年前の科学者たちは,音が鼓膜を介して耳の奥へ入り,聴神経を通って脳まで伝わることを知っていた。しかし,中耳と内耳で何が起きているのかが詳しく調べられたのは1543年になってからだ。その年,ベルギーの解剖学者・物理学者のベサリウス(Andreas Vesalius)は「つち骨」と「きぬた骨」を発見したと発表した。これらは鼓膜から蝸牛に音を伝える3つの小骨のうちの2つだ。3つめの小骨である「あぶみ骨」は数年後に発見され,カタツムリの形をした骨性器官である蝸牛は1561年にイタリアの大学教授ファロピーオ(Gabriello Fallopio)によって発見された。しかし,ファロピーオは蝸牛の中に液体ではなく空気が入っていると誤解し,この空気の振動が聴神経の末端を刺激すると考えていた。
 
image 解剖学上の理解は,顕微鏡による蝸牛の観察によってほぼ完成した。1851年,イタリアの解剖学者コルチ(Alfonso Corti)は蝸牛管に沿った螺旋状の構造物を発見し,「コルチ器官」と名づけた。また,多数の有毛細胞の姿も顕微鏡でとらえていた。有毛細胞は現在では聴覚器の中心的要素だとわかっている。有毛細胞の表面は不動毛というごく小さい突起で覆われており,うぶ毛が生えているように見える。コルチ器官は脳に音の発生だけでなく,音の周波数も伝える。しかし,どのように伝えているのかは20世紀の初めまで謎だった。
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原文はNASのBeyond Discoveryでご覧になれます。
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