サイエンス1977年:掲載論文一覧

※「日経サイエンス」の1990年9月以前の誌名は「サイエンス」です。

※各項目は,掲載ページ,論文名,著者名,内容の要約の順に並んでいます。

 

サイエンス1977年1月号

P9(別冊53)「限定核戦争」

S.D.ドレル/F.フォン・ヒッペル

攻撃目標を軍事基地だけに限定した,一般市民に対する影響の少ない戦争は可能だろうか。

 

P22「幼児の発達と反復過程」

T.G.R.ボワー

子どもは,一度身につけた新しい行動や技術を,その後失ったり再び得たりして成長する。

 

P34「海水の安定泡沫」

阿部友三郎

洗剤の泡のように消えにくい海水安定泡沫の原因は,海の生物が出す表面活性物質である。

 

P52(別冊60)「マントルの対流」

D.P.マッケンジー/F.リヒター

実験によればマントル内には大規模な対流とともに小規模な対流が存在しているらしい。

 

P66(別冊55)「クォークの閉じ込め」

Y.ナンブ<南部陽一郎>

クォークはハドロンの中にかたく閉じ込められているようであり,まだ確認されていない。

 

P82「視覚情報を筋肉に伝える脳橋」

M.グリックスタイン/A.R.ギブソン

脳の基底部にある脳橋の視覚性細胞は,視覚情報を小脳経由で大脳の運動皮質に伝達する。

 

P92「金属板成形の新技術」

S.S.ヘッカー/A.K.ゴーシュ

プレス加工された金属板の材質の変化は,円形格子法により科学的に調べることができる。

 

P104「都市に適した樹」

T.S.エリアス/H.S.アーウィン

貧しい日照と水分,やせた土壌,大気汚染で代表される都市環境に耐える樹種は数少ない。

 

サイエンス1977年2月号

P8「核燃料の再処理」

W.P.ベビングトン

使用済核燃料からウランを回収できるようになれば,原子炉の経済性は著しく改善される。

 

P22(別冊56)「視覚における残像と残効」

O.E.ファブロー/M.C.コーバリス

残像は網膜でおこる現象だが,それに似た残効は大脳か大脳に近い所でおきているらしい。

 

P30「フィッション・トラック年代測定法」

J.D.マクドガル

鉱物の中の微量なウランの自発核分裂によって残される飛跡は,その年齢を知るカギである。

 

P50(別冊58,67)「超流動体ヘリウム3」

N.D.マーミン/D.M.リー

絶対0度にごく近い温度でこのヘリウムの同位元素は,微小な穴を摩擦なしで通り抜ける。

 

P66(別冊25)「超新星」

R.P.カーシュナー

重い星の破局的爆発である超新星は,1つの星雲中では1世紀に2回程度しか現れない。

 

P78「歩行をつかさどる神経系」

K.ピアーソン

歩行をつかさどる神経系は,昆虫でも哺乳類でも同じ仕組みであることが実験でわかった。

 

P90(別冊22)「遺伝子の組み換えとウイルス」

A.M.キャンベル

ある種のウイルスは,寄主の細胞の染色体にその遺伝子を入れ込み長時間寄主と共存する。

 

P102「能管の音色をさぐる」

安藤由典

能に使われる笛である能管は,歌穴と指穴の下が細くしぼられており独特の音色を奏でる。

 

 

サイエンス1977年3月号

P8「妊娠中絶の諸問題」

C.ティエツ/S.レビット

妊娠中絶が合法化されている国では,中絶法や合併症の研究が進み死亡率が低下している。

 

P16(別冊25)「ブラックホールと量子力学」

S.W.ホーキング

トンネル効果によって素粒子はブラックホールから脱出し,最終的には大爆発をもたらす。

 

P24「黒部のホウ雪崩」

清水弘

黒部峡谷に発生するホウ雪崩は,爆風や衝撃波を伴う強大な乾雪表層けむり型雪崩らしい。

 

P44(別冊17)「抗体は抗原にどう結合するか」

J.D.キャプラ/A.B.エドムンドソン

抗体は,あたかも鍵が鍵穴にぴったり合うように,対応した抗原と結合する特異性をもつ。

 

P54(別冊56)「動いている対象の知覚」

R.ゼクシー/E.レビンソン

動く対象を見るとき,“何が”と“どの方向に”という知覚はまったく別の神経系で行われる。

 

P68「エキソエレクトロン」

E.ラビノビッツ

新しい金属表面から自然に跳び出すこの電子は,金属疲労や摩擦の機構を知る糸口となる。

 

P80「耕耘をしない農業」

G.B.トリプレット/D.M.ファン・ドーレン

省力・省エネルギーを目的とする無耕耘の農法が,近年,米国で盛んになろうとしている。

 

P88「惑星のクレーター」

W.K.ハートマン

クレーターの形態や数を調べることによって,その惑星の生成過程をたどることができる。

 

 

サイエンス1977年4月号

P8(別冊33)「巡航ミサイル」

K.ツィピス

この安上がりで,しかも精度のきわめて高い新兵器は,いま軍縮交渉の争点になっている。

 

P20「フォボスとダイモス」

J.ベバーカ

火星をまわる2つの小さな衛星が直接観測され,その起源や構造が明らかになりつつある。

 

P30(別冊67,79)「半導体技術の展望

江崎玲於奈

半導体技術の発展を促したものは,理論と実用のデバイスとの間の緊密な結びつきである。

 

P50(別冊20)「世界をおおう衛星通信網」

B.I.イーデルソン

インテルサットの8個の静止衛星が三大洋上にあり,大陸間通信の2/3を担っている。

 

P66「アテローム硬化症」

E.P.ベンディット

アテローム硬化板で増殖する細胞は,ひとつの突然変異細胞に由来するものと考えられる。

 

P78(別冊34)「レーザーによるアイソトープ分離」

R.N.ゼアー

同位体分離にレーザーを使えば、従来の方法に比べて一段と分離効率を高めることができる。

 

P92「筋肉のアセチルコリン受容体」

H.A.レスター

刺激を受けた運動神経末端からのアセチルコリン放出で筋肉が収縮し,運動が開始される。

 

P104「ハドリアヌスの長城」

R.バーリー

英国に築かれたローマ軍の駐屯地では,民間人も生活していたことが発掘により判明した。

 

 

サイエンス1977年5月号

P8「高速増殖炉“スーパーフェニックス”」

G.A.バンドリュ

欧州諸国の共同計画により,出力120万kwの実規模の増殖炉発電所が建設される。

 

P20(別冊42)「太陽風と惑星間磁場」

J.T.ゴスリング/A.J.ハンドハウゼン

太陽コロナから飛び出す高エネルギー粒子は,地球に向かって吹きつけ地球磁場をみだす。

 

P30(別冊37)「オピエート・レセプターと体内オピエート」

S.H.スナイダー

モルヒネは,脳および脊髄にある神経細胞の特異的レセプターに結合して作用を発現する。

 

P52「生物の窒素固定」

W.J.ブリル

空中の窒素を直接固定できない植物でも,遺伝子の移植でそれが可能になるかもしれない。

 

P66「細胞の形態変化と組織の成立」

江口吾朗

平らな細胞層が器官や組織になるには,細胞内のアクチン様収縮線維が重要な働きをする。

 

P78「最古の岩石と大陸の成長」

S.ムアバス

地質活動による大陸の成長を裏付ける37.5億年前の岩石が,グリーンランドで発見された。

 

P94「バクテリアで光る魚」

J.E.マッコスカー

ヒカリキンメやヒイラギなどの魚は,発光バクテリアの力を借りて発光し敵の攻撃を防ぐ。

 

P104「マヤ文明の起源」

N.ハモンド

ベリーズで出土した建造物や土器類は,紀元前2500年のマヤ形成期の繁栄を物語っている。

 

 

サイエンス1977年6月号

P8「抗生物質の大量消費と耐性菌」

藤井良和

抗生物質の普及によって感染症の疾患は激減したが,一方では薬剤耐性菌が増加している。

 

P18(別冊17)「インターフェロンのはたらき」

D.C.バーク

インターフェロンを大量に精製して,抗ウイルス剤として利用する研究が進められている。

 

P30「太陽型恒星とその伴星」

H.A.アプト

近距離にある太陽型恒星についての分光学的分析により,惑星系の存在頻度が調べられた。

 

P46(別冊65)「アルゴリズム」

D.E.クヌース

特定入力から特定出力を得るための規則の集まりを意味する概念をアルゴリズムという。

 

P62「バンツー語族文化の拡大」

D.W.フィリップソン

タンザニアの一地方で話されていたバンツー語は,現在アフリカ南部に広く普及している。

 

P74「生体結晶」

S.イノウエ/K.オカザキ

ウニの幼生の精巧な骨格は,貝殻や背骨などがどうしてつくられるかを示すモデルである。

 

P82「虹の理論」

H.M.ナッセンツバイク

虹はなぜできるのかという難問を解くためには,数理物理学のあらゆる手段が必要である。

 

P96(別冊60,99)「インドとユーラシアの衝突」

P.モルナー/P.タポニエ

インド・プレートの北に向けての運動は,地球上で最も変化に富んだ地形をつくり出した。

 

 

サイエンス1977年7月号

P8「水資源としての地下貯水池」

R.P.アンブロッジ

地下貯水池には地球上の淡水の約2/3が貯留されており,これは重要な水資源である。

 

P16「ラマピテクス」

E.L.サイモンズ

この絶滅した霊長類は数多くのヒト的な特徴をもっており,最も古いヒト科と考えられる。

 

P26(別冊67)「アモルファス半導体の理論」

D.アドラー

アモルファス半導体の電気的な動作が明らかになり,その応用範囲が大きく広がっている。

 

P46(別冊19,44,91)「ガンの免疫学」

L.J.オールド

ガン細胞は免疫系による破壊をうけないが,この機構がガン治療に利用できないだろうか。

 

P66「太陽に黒点がなかったとき」

J.A.エディ

太陽活動の変動は激しく,1645~1715年には太陽黒点が消えオーロラも観測されなかった。

 

P78(別冊59)「ネズミの社会」

R.ロアー/K.フラネリー

ネズミはその社会組織によって人間との闘争に生き残り,人間生活にうまく寄生している。

 

P90「スタインのパラドックス」

B.エフロン/C.モリス

未来を予測したいとき,たんに算術平均から推定するよりもさらに信頼できる方法がある。

 

P100「接木で変わる遺伝形質」

太田泰雄

トウガラシの接木実験により,台木の遺伝形質が接穂にも伝えられることがはっきりした。

 

 

サイエンス1977年8月号

P9「原子炉の廃棄物処理」

B.L.コーエン

地下数百mの岩塩層の中ならば,高レベルの放射性廃棄物でも安全に保管できる。

 

P22「シンクロトロン放射の利用」

E.M.ロウ/J.H.ウィーバー

シンクロトロン放射は,物質構造の解明や集積回路技術など広範な分野で利用されている。

 

P34(別冊30)「レクチン」

N.シャロン

主に植物にみられるこのタンパク質は,細胞表面や細胞行動の研究手段として重要である。

 

P50「ボックのグロビュール」

R.L.ディックマン

これは星間の微塵とガスからなる不透明な球状の雲で,形成途上にある恒星かもしれない。

 

P66「深海の微生物」

H.W.ヤナッシュ/C.O.ビールゼン

数千mの深海にすむ微生物の代謝活性は,高圧と低温のため非常に低くなっている。

 

P80(別冊42)「成層圏オゾンの破壊」

島崎達夫

超音速機の排気などで,人体に有害な紫外線を吸収しているオゾン層が破壊されてしまう。

 

P94「未熟児網膜症」

W.A.シルバーマン

保育器内の塩素過多がひきおこす未熟時の網膜症は,医学の進歩に伴う矛盾の一例である。

 

P102「空間記憶」

D.S.オールトン

動物が自分のいた場所を記憶して行動するのは,大脳の海馬弓の働きによっているらしい。

 

 

サイエンス1977年9月号

P8「火星の大気」

C.B.レビ

火星の大気は,その化学組成に違いはあるが,地球の大気を希薄にしたようなものである。

 

P20(別冊18)「台風」

山岬正紀

台風モデルの研究が進み,いまや台風の諸特徴をコンピューターで再現できるようになった。

 

P30(別冊22)「遺伝子組み換えと人間の未来」

C.グロブスタイン

遺伝子組み換え技術の有効性と危険性を十分に考慮した,実施基準の設定が急がれている。

 

P46「動物の再生とパターン形成」

P.J.ブライアン/V.フレンチ

ゴキブリとイモリにみられる再生は,基本的に同じ原理で起こっていることがわかった。

 

P62「アルカリ金属の陰イオン」

J.L.ダイ

ナトリウムのようなアルカリ金属は,電子1個を他から得て陰イオンとなることもできる。

 

P78「ウイルス性肝炎」

G.R.ドリースマン/F.B.ホリンジャー

ウイルス性肝炎の中でもB型肝炎は特に激症で,現在そのワクチン作りが進められている。

 

P88「セメントはどのように固まるか」

D.D.ダブル/A.ヘラウェル

セメントが固まるのは,その構成粒子から結晶が析出し網目構造の格子を作るからである。

 

P96「ガウスの業績」

I.スチュワート

ガウスは数学上の証明を数多く行なったが,そこに至る手順は可能な限り公表しなかった。

 

 

サイエンス1977年10月号

P8「SALTの展開」

H.スコビル

米ソ間の戦略兵器制限交渉は兵器の量だけではなく,その質も問題にする新局面をむかえた。

 

P18「とかげ座BL天体」

M.J.ディズニー/P.ベロン

とかげ座BL天体と称される一群の星は,宇宙で最も遠く,最も明るい物体だといわれる。

 

P28(別冊20)「光通信の実用化」

W.S.ボイル

高性能の光ファイバーとレーザーの開発で,光波通信はいよいよ実用化の段階をむかえた。

 

P46「地球内部からの熱の流れ」

H.N.ポラック/D.S.チャップマン

大陸や海洋底での数千の測定結果をもとに,全世界の熱流量分布図が描けるようになった。

 

P62「カンガルー」

T.J.ドースン

この有袋類のユニークな緒特徴は,それらが草原にうまく適応してきたことの証拠である。

 

P74「エアフロー・カー」

H.S.アーウィン

ボデーを流線形にした最初の自動車エアフローは,のちの自動車設計に大きな影響を与えた。

 

P84「アトランティスをさぐる」

竹内均

アトランティス物語の発生はサントリン火山の爆発とカルデラの生成に影響されたらしい。

 

P96(別冊37)「脳内の第二情報伝達体」

J.A.ナサンソン/P.グリーンガード

神経細胞間で情報のやりとりをするとき,最終的にはサイクリックAMPの役割が大きい。<セカンドメッセンジャー>。

 

 

サイエンス1977年11月号

P8(別冊20,27,61)「マイクロエレクトロニクス」

R.N.ノイス

この10年間のエレクトロニクス技術の進歩はきわめて著しく,しばしば“革命”と呼ばれる。

 

P18(別冊27,61)「マイクロエレクトロニクスの回路素子」

J.D.マインドル

トランジスタの出現で,ひとつの回路に多くの素子を組み込むことができるようになった。

 

P32(別冊27,61)「LSI回路」

W.C.ホートン

多くのLSI回路は,電気回路であると同時にブール代数の規則に従ってつくられる。

 

P46(別冊27,61)

マイクロエレクトロニクス回路の製造技術

W.G.オルダム

集積回路のパターンは,まず大きな寸法で作成された写真技術によりチップ上に転写される。

 

P66(別冊27,61)「マイクロエレクトロニクス・メモリー」

D.A.ホッジス

トランジスタの記憶装置は,ふつう1チップで1万6000ビット以上記憶することができる。

 

P80(別冊27,61)「マイクロプロセッサ」

H.M.D.ツング

マイクロプロセッサは,TVゲームから油田の遠隔監視まで,種々の用途に使われている。

 

P98「情報処理とマイクロエレクトロニクス」

L.M.ターマン

現代の大型コンピューターは,マイクロエレクトロニクスの構成要素なしには存在できない。

 

P114(別冊27,61)「計測・制御マイクロエレクトロニクス」

B.M.オリバー

マイクロプロセッサは,計測器の性能を飛躍的に高め,生産工程の自動制御を可能にした。

 

P128 「通信とマイクロエレクトロニクス

J.S.メイヨー

マイクロエレクトロニクス装置の高信頼性,安価という特性は通信にとっては理想的である。

 

P142(別冊27,61)「コンピュータ・サイエンスの変貌」

I.E.サザーランド/C.A.ミード

マイクロエレクトロニクスは,コンピューターに対する従来の考え方を変えようとしている。

 

P160「パーソナルコンピュータ」

A.C.ケイ

1980年代には,現在の大型なみの能力をもつ小型コンピューターを各個人が所持すだろう。

 

 

サイエンス1977年12月号

P8「マリファナと幻覚」

R.K.シーゲル

マリファナなどの作用で見える幻覚像は,神経生理的なものと記憶とに関係があるらしい。

 

P18(別冊65)「4色問題の解決」

K.アペル/W.ハーケン

4色問題は,イリノイ大学の2人の数学者により計算機を使って,124年ぶりに解決された。

 

P30(別冊85)「チャームをもつクォーク」

R.F.シュウィッターズ

電子・陽電子消滅により発生した粒子のなかでチャームをもつ中間子が何種か発見された。

 

P56(別冊34)「サイドルッキング・レーダー」

H.ジェンセン/L.C.グラハム

航空機に積載したこのレーダーを使えば,悪天候時でも夜間でも地形を明瞭に映し出せる。

 

P74(別冊25)「球状星団のX線星」

G.W.クラーク

一部の球状星団の高密度な中心核は,X線を放射する連星系を形成するのに好都合である。

 

P92「浅海性発光魚の発光器官」

羽根田弥太

浅海性発光魚は,開孔式発光器をもち水中からそこへ取り入れた発光細菌を利用している。

 

P104「いかにして鉄の時代が始まったか」

R.マディン/T.S.ウィーラー

紀元前1000年ごろ,青銅の材料であるスズの貿易が途絶したために鉄の時代が始まった。

 

P114(別冊19)「組織適合性抗原」

B.A.カニンガム

この細胞表面にあるタンパク質は,組織の移植や疾病の感染で重要な役割を果たしている。