タグ : 量子力学

ベルの不等式が問いかける 実在・局所性・自由意志

量子力学が語る世界像は,我々の日常的な感覚からはかけ離れている。なかでも想像しにくいのは,物体の基本的な性質を示す値が「測定によって立ち現れる」という点だろう。粒子の位置や運動量,光子の偏光,電子のスピンといった物理的性 … 続きを読む

カテゴリ 2023年12月号, 記事

世界は局所的かつ実在的,ではない

この半世紀における最も衝撃的な発見の1つは,私たちの住む世界が局所的かつ実在的であるという,これまで当然とされていた前提が覆ったことである。ここでいう「実在」とは,物体が観測とは無関係に確定した性質を持つ,という意味だ。 … 続きを読む

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量子もつれ実験の知られざる源流

1949年11月,ウー・チェンシェンと大学院生のアービング・シャクノフは,コロンビア大学ピューピンホールの地下の実験室に向かっていた。これから行う実験には反物質が必要であり,それをサイクロトロンと呼ばれる装置で生成するた … 続きを読む

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世界最強の加速器スーパーKEKBで探る標準モデルのほころび

素粒子物理学の今夏のハイライトは米国立フェルミ加速器研究所で進んでいる素粒子「ミュー粒子」に関する実験の最新結果の発表で,実験値が理論値と一致せず,ズレていることが確証された。このズレは,現在の素粒子物理学の理論的土台で … 続きを読む

カテゴリ 2023年11月号, 記事

ホログラフィック宇宙 時空の本質に迫った四半世紀

四半世紀前,一つの予想が理論物理学の世界を揺るがした。それには天啓のようなオーラがあった。「神秘的で,降って湧いたかのようだった」と,加ブリティッシュ・コロンビア大学の理論物理学者マーク・ファン・ラームスドンクは言う。ニ … 続きを読む

カテゴリ 2023年11月号, 記事

量子もつれ 実験実証 物理の世界観に変革

測っていない値は実在しない  ベルの不等式の破れの実験は我々に常識の変更をつきつけた 20世紀に登場した量子力学は,主にミクロの世界で,日常の中では見られない奇妙な現象が起きていることを予言した。中でも量子もつれ(エンタ … 続きを読む

カテゴリ 2022年12月号, 記事

事象地平をまたぐ「アイランド仮説」

ホーキング(Stephen Hawking)がブラックホールによる情報の破壊を主張した1974年以来,理論物理学は危機的状況にある。彼はブラックホールが蒸発し,ブラックホール自身とそこに吸い込まれたものすべてを特徴のない … 続きを読む

カテゴリ 2022年12月号, 記事

動物たちの磁気感覚

動物はそれぞれ,自らの生活環境に合わせて必要な音や光を捉える感覚を研ぎ澄ませてきた。その仕組みは驚くほど理にかなっている。耳の中には音波を周波数ごとに微細な繊毛の揺れに変換する仕組みがあり,これは音の本質が空気の振動であ … 続きを読む

カテゴリ 2022年8月号, 記事

量子もつれ実験の難題を解くAI物理学者

量子物理学者のクレン(Mario Krenn)は2016年の初め,ウィーンのカフェでコンピューターの出力を見つめ,MELVIN(メルヴィン)が一体何を発見したのかを読み解こうとした日のことをよく覚えている。メルヴィンとは … 続きを読む

カテゴリ 2022年7月号, 記事

「時空の創発」って どういうこと? 細谷曉夫氏に聞く

時空は量子もつれから創発する(2022年6月号「創発する時空」)。と言われても,どういう話なのか想像もつかない,という人は多いだろう。 量子もつれといえば,互いに遠く離れた光子や電子どうしの性質が連動して変化する不思議な … 続きを読む

カテゴリ 2022年6月号, 記事

創発する時空  量子情報がもたらしたパラダイム

物理学において,重力を説明する最善の理論は一般相対性理論だ。アインシュタインが,空間と時間が物質によってどのように歪むかを記述した有名な理論である。それ以外のすべてを最もよく説明するのが量子力学で,物質やエネルギー,素粒 … 続きを読む

カテゴリ 2022年6月号, 記事

トポロジーで解けた量子ホール効果の謎

 量子化は通常,ミクロな量子世界で見られるが,量子ホール効果は導体の表面に流れる電流が量子化されるマクロな現象だ。この量子化を説明することは物理学の未解決問題とされてきたが,最近,数理物理学者らがトポロジー(形の性質を研 … 続きを読む

カテゴリ 2021年7月号, 記事

波動関数の収縮は物理現象か?

一部の物理学者は,波動関数の収縮は実際に起こっている物理現象であり,測定可能な効果を伴っていると考えている。その1つに「連続的自発的局在化(CSL)」という考え方がある。CSLによると,波動関数の収縮はミクロ世界で絶えず … 続きを読む

カテゴリ 2019年8月号, 記事

時空の量子化をとらえる

量子世界では,粒子が同時に2つの場所に存在するという不可思議なことが起こりうる。物理学者はこれを「重ね合わせ」と呼ぶ。量子的な重ね合わせは実際に実験室で何度も確認されているが,非常にデリケートで壊れやすい。重ね合わせにな … 続きを読む

カテゴリ 2019年8月号, 記事

特集:実験で迫る量子世界の深奥

この特集に収められた2編の記事は,両方とも常識的な物理の話ではないことを,まず断っておく必要がある。   1本目の「時空の量子化をとらえる」は量子重力の効果を検出する卓上実験の解説である。だが,少々この分野を聞 … 続きを読む

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