タグ : 量子もつれ
ベルの不等式が問いかける 実在・局所性・自由意志
量子力学が語る世界像は,我々の日常的な感覚からはかけ離れている。なかでも想像しにくいのは,物体の基本的な性質を示す値が「測定によって立ち現れる」という点だろう。粒子の位置や運動量,光子の偏光,電子のスピンといった物理的性 … 続きを読む
世界は局所的かつ実在的,ではない
この半世紀における最も衝撃的な発見の1つは,私たちの住む世界が局所的かつ実在的であるという,これまで当然とされていた前提が覆ったことである。ここでいう「実在」とは,物体が観測とは無関係に確定した性質を持つ,という意味だ。 … 続きを読む
量子もつれ実験の知られざる源流
1949年11月,ウー・チェンシェンと大学院生のアービング・シャクノフは,コロンビア大学ピューピンホールの地下の実験室に向かっていた。これから行う実験には反物質が必要であり,それをサイクロトロンと呼ばれる装置で生成するた … 続きを読む
量子もつれ 実験実証 物理の世界観に変革
測っていない値は実在しない ベルの不等式の破れの実験は我々に常識の変更をつきつけた 20世紀に登場した量子力学は,主にミクロの世界で,日常の中では見られない奇妙な現象が起きていることを予言した。中でも量子もつれ(エンタ … 続きを読む
『三体』に出てくる量子通信は可能か?
劉慈欣のSF『三体』に出てくる三体星人は高度な文明を持ち,量子通信を駆使して地球にサイバー戦を仕掛けてくる。その中には量子テレポーテーションを彷彿とさせる通信方法が登場するが,果たして小説のような量子通信は本当に可能なの … 続きを読む
特集:実験で迫る量子世界の深奥
この特集に収められた2編の記事は,両方とも常識的な物理の話ではないことを,まず断っておく必要がある。 1本目の「時空の量子化をとらえる」は量子重力の効果を検出する卓上実験の解説である。だが,少々この分野を聞 … 続きを読む
アインシュタインの夢 ついえる
「アインシュタインと散歩していたとき,彼は不意に足を止め,私のほうを向いて『君は,君が見上げているときだけ月が存在していると本当に信じるのか?』と尋ねた」 ──物理学者A. パイス 2015年,欧米の3つの研究グループが … 続きを読む
最終決着「ベルの不等式」の破れの実験
すべての革命が華々しく始まるわけではない。量子力学においては1964年,物理学者ジョン・ベルが1つの数式を発表したときに,そんな静かな革命が始まった。その数式は,量子力学の創始者たちを悩ませた哲学的問題に答えを出すための … 続きを読む
難関を突破するモジュール量子計算
実用に耐える大規模な量子コンピューターを作るのは難しい。一般に,粒子が多く集まると量子力学的な振る舞いが見られなくなり,古典的法則に従うようになるからだ。解決策の1つは,小さな量子コンピューターをたくさん作り,その量子的 … 続きを読む
ひも理論で語る物質の科学
極低温になると物質は不思議な振る舞いを見せ始める。電気抵抗がゼロになって電流が永遠に流れ続ける超電導や,コップに入れた液体が自然に壁をはい上がって外に流出してしまう超流動だが,近年,こうした現象が起きたり消えたりする際に … 続きを読む
量子で囚人を解き放つ
ひとりひとりが自己の利益を追求した結果,全員が損をする──ゲーム理論における「囚人のジレンマ」は,そんな逆説的な状況を物語る。人間が合理的に行動する限り,この残念な結果は避けられない。だが実際の人間は必ずしもそうした合 … 続きを読む
パラドックスに合理あり
20世紀を通じて,科学者と数学者は,我々には合理的に理解できないような何かが常に存在することを,はからずも認めざるを得なくなった。よく知られているように,ゲーデル(Kurt Gödel)は1930年代,数学という合理的 … 続きを読む
不確定性原理で「光子の逆説」は解けるか
壁に開けた2つのスリットに光子を当ると、背後のスクリーンには光の明暗の縞ができる。だが,光子がどちらのスリットを通ったかがわかるように工夫すると,光子の挙動が変わり,スクリーンの縞は消えてしまう。 光子に何が起きたの … 続きを読む
反逆児サスキンドに聞く 物理で実在は語れるか?
スタンフォード大学のサスキンド博士は「ひも理論」のパイオニアで,その研究のなかでマルチバースの概念に行き着いた。だが,この世界を数学的に可能な唯一の世界として説明するという物理学者の夢はかなわないという。実在を述べる方 … 続きを読む