タグ : アルツハイマー病

なぜ記憶は失われるのか見えてきた脳回路の変調

私の祖母はアルツハイマー病だった。小学校教諭として長年働き,とても朗らかな人であったが,70歳代後半になって物覚えが悪くなった。あるとき,自分が置いたのとは違う場所に財布がある,あなたお金取ったでしょう!と言いだした。自 … 続きを読む

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血液脳関門の破れがもたらす認知症

脳内の血管には特殊な細胞が密着結合してできた“壁”があり「血液脳関門」と呼ばれている。壁といっても機能的にはフィルターに近く,血液中の酸素や重要な栄養素を脳細胞に到達させる一方,神経細胞を傷つける恐れのある病原体や特定の … 続きを読む

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脳の免疫細胞 ミクログリアの裏切り

アルツハイマー病は,異常な形態のアミロイドやタウと呼ばれるタンパク質が脳に蓄積し,ニューロンの損傷をもたらすことが知られており,研究の焦点もここれらのタンパク質に当てられていた。ところが最近の研究で,この過程にミクログリ … 続きを読む

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特集:アルツハイマー病の意外な引き金

認知症を引き起こすアルツハイマー病。脳にアミロイドという異常なタンパク質が蓄積するために神経細胞が死滅することによって起きると考えられ,このタンパク質を除去する治療薬の開発が進んできた。だがその期待は外れ,病気の進行を食 … 続きを読む

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発症を抑える治療を目指す

 患者の脳には,老人斑という目立った特徴がある。これを形成する異常なタンパク質「アミロイドβ」を取り除くことを目的とした抗体医薬がいくつも開発されたが,結果は芳しくない。著者らは,蓄積が進んで凝集し,硬い老人斑になる前に … 続きを読む

カテゴリ 2020年11月号, 記事

浮上した大気汚染のリスク

2018年にメキシコシティの30~40代の住民にアルツハイマー病に特有の脳病変が発見され,通常この病気の兆候が見つかる年齢より数十年早いことから,同氏の大気汚染との関係が指摘された。 メキシコシティだけではない。ハーバー … 続きを読む

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なぜ女性に患者が多いのか 更年期に起こる脳の変化

米国では,65歳の女性の5人に1人が亡くなるまでの間にアルツハイマー病を発症するのに対し,同年齢の男性では9人に1人だという。この性差は男女の平均寿命の違いだけでは説明できない。また,アルツハイマー病のリスクを高めるAP … 続きを読む

カテゴリ 2020年11月号, 記事

発病の謎を解く新たな視点

 最初に報告されてから100年以上がたつのに,まだ認知症状を改善できる薬はできていない。アルツハイマー病患者の脳の目立った特徴である老人斑をつくるアミロイドβを標的にした抗体医薬がいくつか作られてきたが,認知症が進むのを … 続きを読む

カテゴリ 2020年11月号, 記事

弔鐘の記憶 ある患者家族の手記

 アルツハイマー病は妻の記憶と人生を奪い,私たち家族を苦しめた。私たちにそれを止められる手立てはなかった。医学にも――。  自分の愛する家族がアルツハイマー病になったとき,記憶の問題に直面するのは患者本人だけではないこと … 続きを読む

カテゴリ 2020年11月号, 記事

免疫系が脳を動かす

解剖学の教科書では,これまで何十年にもわたって,身体の中で最も複雑なシステムである「脳」と「免疫」はほぼ完全に互いに独立していると語られてきた。誰に聞いても,脳は身体の操作だけをし,免疫は身体の防衛のみを担っているという … 続きを読む

カテゴリ 2019年1月号, 記事

野菜が体によい本当の理由 微量毒素の効用

 野菜や果物が身体によいのは抗酸化物質を含みフリーラジカルを中和するからだといわれることが多いが,そうでもなさそうだ。植物は害虫を撃退するために微量の毒素を作り出している。人間がこれを食べると,毒素が人体の細胞に軽いスト … 続きを読む

カテゴリ 2016年1月号, 記事

アルツハイマー病予防への挑戦

脳細胞が破壊されて記憶力が次第に低下し,身体機能も衰えていくアルツハイマー病。根本的な治療薬がない難病として知られるが,希望の光が見えてきた。コロンビアの神経科医がほぼ確実に遺伝性のアルツハイマー病を発症する家族集団を発 … 続きを読む

カテゴリ 2015年9月号, 記事

認知症のタネをまくタンパク質

 タンパク質は組成が同じでも,その形状が異なるものがある。狂牛病などの感染症は,異常な形をしたプリオンタンパク質が,正常なプリオンタンパク質を異常な形に変えることによって起こる。ノーベル賞の対象となった発見だ。これと同様 … 続きを読む

カテゴリ 2014年1月号, 記事

出番近づくユニーク技術10

 この季節,SCIENTIFIC AMERICAN誌では,“World Changing Ideas”と銘打った記事を掲載するのが恒例になっている。世界を変える大きな進歩を夢見て,研究者が取り組んでいるアイデアの紹介集だ … 続きを読む

カテゴリ 2013年3月号, 記事

しなやかなタンパク質

 タンパク質は種類の異なるアミノ酸がいくつもつながってできた大きな分子で,その鎖が特定の形に折りたたまれている,と考えられてきた。実際,タンパク質分子の形(立体構造)が崩れると,機能を果たさなくなる場合が多い。ところが近 … 続きを読む

カテゴリ 2011年7月号, 記事