星の衝突が生んだレアアース〜日経サイエンス2023年2月号より
爆発時の光から合成された元素の種類を特定した
東北大学の田中雅臣准教授と大学院生の土本菜々恵さんらの研究チームは,高密度の星が衝突した際にできたレアアース(希土類)を初めて特定した。衝突時の爆発で発生した光を詳しく解析して,ランタンとセリウムが生じたことを確かめた。今後の観測でさらに重い元素を特定できれば,金やプラチナなどの貴金属ができる仕組みの解明にもつながる。
誕生したばかりの宇宙には水素とヘリウムなどの軽い元素しかなく,鉄までの重さの元素は恒星内部でできる。レアアースを含む鉄より重い元素は,中性子星と呼ばれる密度の高い星らランタンとセリウムができていることを突き止めた。
爆発した温度や密度といった条件をもとに見積もったところ,合わせて地球1個分を超える重さのランタンとセリウムができていたこともわかった。田中准教授は「今後,別の衝突が観測できれば,さらに重い元素を特定できるかもしれない」と期待する。
衝突時の光は,中性子星に含まれる元素や爆発の温度といった条件によって変化する。地球から見る方向も影響する。今回の観測ではさらに重い元素の特定は難しいという。■
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