中高生が学ぶ サイエンス講義

清水建設、最先端技術を紹介 〜学芸大附属高生、高層ビルの建設現場に触れる

 清水建設は2021年12月中旬、東京学芸大学附属高等学校(東京・世田谷)で地震に強い建物や高層ビルの建築技術をテーマにした特別講義を開いた。同社が実施している「シミズ・オープン・アカデミー」の一環で、通常は見られない高層ビル建設現場の映像に、参加した21人の受講生は興味津々。講義の終盤には、高層ビルの建築技術について質問が相次いだ。


人も建物も守る免震技術
 講義の冒頭では、清水建設技術研究所(東京・江東)の奥村俊彦上席マネージャーが、建設会社の仕事や、社内でどんな人が働いているかを紹介した。清水建設では理系出身者が多くを占める。技術研究所でみると、建築や土木が専門の人ばかりではなく、1/3ほどは情報科学や化学、医学系などの学科出身だ。「建築・土木以外にも、様々な専門を持つ人が多いのが清水建設技術研究所の特徴だ」と奥村氏は話した。

 講義は3部構成で、第1部は奥村氏が地震から建物を守る技術について講義した。奥村氏は、「耐震」と「免震」の違いをイラストや映像で説明。耐震構造の建物を揺らした実験映像では室内の家具などが倒れたが、免震構造だとゆっくり全体が揺れ、家具の転倒は防がれた。奥村氏は「免震技術を用いると、建物だけでなく中の人も安全に守ることができる」と話した。

ロボットと協同で高層ビルを建てる
 第2部では、同研究所の内山伸主査が高層ビルの建て方を解説した。高層といっても、意外と時間がかかるのが地下の工事だという。周囲の土地に影響しないよう建設地に穴を掘り、ビル全体を支える頑丈なコンクリートの床(耐圧盤)を作るためだ。

 高層部分の工事で活躍するのは、おなじみのタワークレーンだ。「なぜいつも最上階に乗っていられるのか、不思議に思いませんか?」と内山氏。実はタワークレーンは新しい階の柱や梁を組み立てるとその上で踏ん張り、自分自身を引っ張り上げることが可能だという。

 梁をつなぐ溶接作業は近年、人に代わってロボットが行うようになっている。内山氏は「人にとって大変な作業から順にロボットへ置き換えている」と説明した。清水建設では、天井の化粧板やOAフロアなどの設置を行うロボットも開発した。これらのロボットは人がいない夜間も働く。人とロボットが作業を分担し、協同でビルを建てるイメージだ。

 第3部では映像で技術研究所の実験施設を巡るバーチャルツアーが行われた。高層ビル特有の長周期の揺れが再現できる地震実験設備や、音の全く響かない無響室などが紹介された。

 質疑応答では、高層ビルの建築技術について質問が相次いだ。「穴を掘っていて地下水が出たらどうするのか?」という質問に、内山氏が「場合によっては井戸を周囲に掘って水位を下げる。耐圧盤が完成すれば地下水の影響は受けない」と解説。「タワークレーンはどう解体するのか?」との質問も出た。「自分より小さなクレーンを持ち上げ、このクレーンに自分自身を解体させる。この作業を何度か繰り返すと、最後は人の手でクレーンの部品を持って降りられる」と内山氏は説明した。

 受講生たちは「免震の仕組みがよくわかった」「建築の仕事にさらに魅力を感じるようになった」と話した。■

(日経サイエンス2022年4月号に掲載)
※所属・肩書きは掲載当時

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協力:日経サイエンス 日本経済新聞社