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塵が積もると〜日経サイエンス2021年9月号より

毎年どれだけの宇宙塵が降っているか?

 

宇宙の石屑は地球の歴史が始まって以来ずっと降り注いできた。この天空のにわか雨はいまも日々続いている。その最も劇的な例はそこそこの大きさの岩石や金属の塊で,大気圏を突き抜ける際に火の筋となって現れ,ときには隕石として地上に達するものもある。だが地球に落下する物体のほとんどは「流星塵」と呼ばれる1mmに満たない塵で,これらは追跡と定量化がより難しい。

 

だが最近,南極大陸に蓄積した流星塵を計量しているチームがEarth and Planetary Science Letters誌に論文を発表し,地球に入ってくる宇宙の塵が年間5200トン前後に上ると推計した。

 

南極で数十年分の流星塵を収集

一年中氷で覆われている極域は地理的に隔離され変化にも乏しいため,流星塵研究の好適地となっている。地球の他の場所から到達する物質はわずかなので,そうした地上の物質の混入が最小限に抑えられた状態で,地表の氷に宇宙塵が吸収されて閉じ込められる。そのうえ,毎年積み重なって保存されている年ごとの積雪層に流星塵を発見した場合には,その落下時期を特定できる。


© J. Duprat, C. Engrand and CNRS


北極と南極のどちらもこうした研究に適しているが,「南極のほうがはるかに有利だ。周囲を海に囲まれ,他の大陸から完全に隔離されているからだ」と研究論文を共著した仏ソルボンヌ大学の宇宙化学者デュプラ(Jean Duprat)はいう。

 

デュプラらは過去20年間に3回の遠征調査を行い,南極大陸のドームCという領域にあるコンコルディア基地(フランスとイタリアが共同で運営)の近くで流星塵を収集した。パリ・サクレー大学の博士課程の学生で論文の筆頭著者を務めたロハス(Julien Rojas)は,この地域は降雪量が少ないため,大量の氷を解かす手間なしに,数十年分の流星塵を1カ所で収集できたという。コンコルディア基地の人間活動で生じた物質のコンタミを避けるため,同基地の活動開始の前年にあたる1995年よりも前の積雪層を用いた。(続く)

 

続きは現在発売中の2021年9月号誌面でどうぞ。

 

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