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“幻の魚”イトウ,道内7河川に〜日経サイエンス2021年3月号より

北大,生息数は2000尾と推定

 

日本最大の淡水魚で絶滅危惧種に指定されているイトウ(右ページ)が生息しているのは北海道の7河川で,その他の河川では絶滅の危機にあることが北海道大学の荒木仁志教授らの調査で明らかになった。河川の水を調べてイトウのDNAの有無を分析した結果で,その数は少なくとも2000尾と推定した。

 

阿部幹雄

 
イトウはサケの仲間で日本最大の淡水魚。かつては東北地方でも見られたが,「幻の魚」と呼ばれるほど数が減り,現在は北海道に生息するだけで,絶滅危惧種に指定されている。生息域は河川の上流から河口,沿岸域までと広く,個体数も少ないため,捕獲して調べるのは難しかった。

 

研究グループは河川の水に含まれるDNAからイトウの生息する河川を推定した。河川の水には生物の分泌物やはがれ落ちた細胞に由来するDNAが含まれている。水を採取してイトウのDNAだけを検出するPCR検査を実施して,イトウがいるかどうかを解析した。

 

調べた120の河川のうち,7河川でイトウが生息しており,その数は少なくとも2000尾と推定した。北海道全体で検出したDNA量のうち,95%以上が宗谷地方と釧路地方に偏っていた。他の地域では絶滅の危機にあるという。さらにイトウの生息地と,地理情報システム(GIS)による地形のデータを組み合わせると,イトウがいる河川の特徴も判明。起伏が緩やかで,湿地やラグーン(潟湖)のある地形が生息に重要だという。この手法では,水をくむだけで生物の個体数が推測できる。専門知識が要らないので一般の人も調査に参加できるという。他の希少生物にも応用して,環境保全につながる調査ができると期待している。  ■

 

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